加藤泉は1969年生まれ、92年に武蔵野美術大学造形学部油絵学科を卒業。90年代半ばから絵画作品を発表、2000年代からは木彫も手がける。07年、ヴェネチア・ビエンナーレ国際美術展への招聘をきっかけに国際的な評価を獲得し、18年には北京・レッドブリック美術館(2018)で日本人初となる個展を開催するなど、国外にも活動の場を広げてきた。
原始美術を思わせる、ミステリアスで力強い「生命体」の表現を特徴とする加藤。近年ではソフトビニール、石、ファブリックなど多様な素材を用いたインスタレーションを展開するほか、新たに版画制作にも取り組んでいる。
そんな加藤の個展「加藤泉―LIKE A ROLLING SNOWBALL」が、群馬の別館ハラ ミュージアム アークと原美術館で開催される。
ハラ ミュージアム アークでは、人のようなモチーフがすでに見られる初期の絵画作品から近作まで、未発表作を含む約100点で四半世紀の活動を網羅的に紹介。素材と技法の幅を広げながら、モチーフがどのように展開されてきたのかを見ることができる。加えて高さ13メートルのメインギャラリーでは、代表的な木彫を中心に大小様々な彫刻作品の共演が予定されている。
いっぽう原美術館では、設えにもこだわりを持つ加藤ならではの空間構成にも注目したい。会場には、吹き抜け部分に大判のファブリックを用いたインスタレーションが出現するほか、全館で絵画や彫刻など最新作約30点を展示。旧個人邸宅である同館ならではの、親密な距離感で作品を鑑賞することができるだろう。
ふたつの異なる空間で加藤の表現世界を検証し、その新たな展開を見据える本展。期間中の両館では様々なイベントが開催されるほか、本展限定のスペシャルリトグラフやソフトビニールフィギュアも販売予定となっている。