2019.6.12

彫刻家・中谷ミチコの個展「その小さな宇宙に立つ人」が三重県立美術館で開催。柳原義達の作品と共鳴する展示空間とは?

三重県立美術館 柳原義達記念館で、次世代を担う美術家を発信する「Y² project」がスタート。第1弾として、レリーフのような彫刻作品で知られる中谷ミチコの個展「中谷ミチコ その小さな宇宙に立つ人」が開催される。会期は7月6日〜9月29日。

中谷ミチコ 犬の唄 2019 Photo by koji honda
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 中谷ミチコは1981年生まれ、2005年多摩美術大学卒業。その後ドイツで7年間学び、現在は三重県を拠点に国内外で発表を続けている。彫り沈めた石膏に透明樹脂を流し込む手法で、立体と平面のあいだを行き来するような作品群が特徴的だ。

 近年では個展「私は一日歌をうたう」(さいたま市プラザノース、2017)を開催したほか、「20th DOMANI・明日展」(国立新美術館、2018)、「生きとし生けるもの」(ヴァンジ彫刻庭園美術館、2016)などのグループ展に参加。

中谷ミチコ 3人 2018 Photo by Hayato Wakabayashi

 今回、そんな中谷の個展「その小さな宇宙に立つ人」が、三重県立美術館 柳原義達記念館で開催される。柳原義達(1910~2004)は、戦後日本の具象彫刻界を代表するひとり。カラスや鳩をモチーフとした「道標」シリーズや、や「犬の唄」と題された女性立像などで知られている。

 同館は柳原の彫刻、デッサン、資料等の常設展示のほか、近年では特集展示も開催。本展は、次世代を担う美術家を発信する「Y² project」の第1回として行われる。

中谷ミチコ 犬と女の子 2018 Photo by Hayato Wakabayashi

 本展で中谷は、近作に加え新作を発表。また、中谷が10代の頃に強く影響を受けたという柳原作品を、自身がセレクトして同じ空間に展示する。世代や表現方法の違いを超え、両者の作品が共鳴しあうような空間を見ることができるだろう。