戸谷成雄は1947年長野県生まれの彫刻家。75年に愛知県立芸術大学大学院彫刻専攻を修了した。
近年では、三重県立美術館 柳原義達記念館、ヴァンジ彫刻庭園美術館(静岡)、武蔵野美術大学美術館(東京)などで個展を開催したほか、「ヨコハマトリエンナーレ2011 - OUR MAGIC HOUR」(横浜美術館)、「大地の芸術祭 越後妻有アートトリエンナーレ 2015」といった国際展にも多数参加。なお、現在、石川県の金沢21世紀美術館で開催中のグループ展「起点としての80 年代」にも出品している。
荒々しくも理知的な魅力を併せ持った木彫で知られる戸谷の制作の原点は、学生時代に見たイタリア古代都市・ポンペイの人型(*)の写真だという。生命の痕跡、人間という物体を形作るうえでの表面の逆転、再生、また彫刻自体を成り立たせるものでもある「内と外の境界である表面」が、戸谷にとって長年の制作テーマとなっている。
今回、愛知県名古屋市のケンジタキギャラリーで開催される新作展「直方体の三等分・四等分」では、直方体の木のブロックを内側に向かって彫り込み、表面をえぐり出すかのように薄い壁状に表現した彫刻シリーズ「直方体の二分割又は低くて薄い壁」(2016)を発展させた新作が発表される。
*脚注
火山の噴火によって埋没したイタリアの古代都市・ポンペイが発掘された際に、現場の空洞に石膏を流し込んだことによって出現した人のかたち。