2017年からの2年間で23作品を発表、18年11月には自身初のパリ公演を成功させるなど、驚異的な質と量で現代演劇を更新し続ける藤田貴大(マームとジプシー主宰)。そんな藤田の新作『CITY』が、彩の国さいたま芸術劇場で上演される。
藤田自身が「新たなフェーズ」と位置付ける本作は、故郷、子供時代、架空の異国の町というこれまでの題材から一転し、現代の都市を舞台としたもの。「ヒーロー」をモチーフに、多様な価値観が共存する現代社会での善と悪の相克が描かれる。
本作の主演を務めるのは、藤田作品初出演となる柳楽優弥。柳楽が演じるのは、正義のためには暴力的な制裁も厭わない、善悪の狭間に生きる闇のヒーローだ。また、ヒーローと対峙する「ヴィラン(敵)」を演じるのは井之脇海。街を背後で支配する悪人という新境地で、その好青年然としたイメージを覆すという。そのほかにも、主人公を支える協力者に、昨年の『BOAT』で大きな話題を集めた宮沢氷魚など、気鋭の俳優陣が顔を揃える。
加えて、衣装デザインは、その斬新な発想でファッション界で唯一無二の存在感を放つ森永邦彦(アンリアレイジ)が担当。「日常と非日常」「光と闇」など、森永のブランドコンセプトに共感する藤田たっての希望で実現したコラボレーションとなる。