題府基之は1985年東京生まれの写真家。2007年に東京ビジュアルアーツを卒業し、現在は神奈川を拠点に活動を行っている。
近年では、東京のほかニューヨークやロサンゼルスでも個展を開催。そのほか、ロンドンのヴィクトリア&アルバート美術館で行われたグループ展「Prix Pictet - Consumption」にも参加するなど、国内外で注目を集めている。
題府の作品は、ユーモアとクリティカルに富んだものが多く、自身の身のまわりの事柄を主題に、日常と非日常を行き来するような軽やかなイメージをつくりだしている。
そんな題府の個展が、東京・大塚のMISAKO & ROSENで開催される。本展は、近年国内外で精力的に活動を行ってきた題府の新シリーズ「untitled(surround)」をチェックできる機会となる。
題府は同シリーズにおいて、自身の実家周辺である横浜市郊外に注目。それぞれのイメージは統一されたトーンを持ち、家庭内の状況や静物をとらえた初期作品と同様のカジュアルな構図で捉えられている。
その作品群は、思いがけない要素の併置や情報の過剰さや色彩の飽和よりも、現代の日本における規格化された郊外建築自体の「崩れたバランス」という特質、そしてそれが孕むありふれたディテールから生起されるもの。
加えて、いずれの作品も縦位置であることによって、その奇妙な世界観が強調され、ひとつひとつがフォトグラフィカルな物体であることが示されている。