ル・コルビュジエの原点を見る。国立西洋美術館で「ル・コルビュジエ 絵画から建築へ―ピュリスムの時代」が開催決定

ル・コルビュジエが故郷のスイスを離れ、芸術の中心地パリで「ピュリスム(純粋主義)」の運動を推進した若年期の時代に焦点を当てる展覧会「ル・コルビュジエ 絵画から建築へ―ピュリスムの時代」が開催される。絵画、建築、都市計画、出版、インテリア・デザインなど約10年間の多様な活動を振り返る本展の会期は、2019年2月19日~5月19日。

ル・コルビュジエ エスプリ・ヌーヴォー館 1925 Musée des Arts Décoratifs, Paris © MAD, Paris

 20世紀を代表する建築家、ル・コルビュジエ(本名:シャルル=エドゥアール・ジャンヌレ)。フランク・ロイド・ライト、ミース・ファン・デル・ローエと並び「近代建築の三大巨匠」のひとりに数えられるル・コルビュジエの原点に迫る展覧会「ル・コルビュジエ 絵画から建築へ―ピュリスムの時代」が国立西洋美術館本館にて開催される。

 第一次世界大戦終結直後の1918年末、若きル・コルビュジエと画家のアメデ・オザンファンは、機械文明の進歩に対応した「建築と総合」の芸術を唱えるピュリスム(純粋主義)の運動を開始。絵画制作に取り組みながら新しい建築の創造をめざしたル・コルビュジエは、20年代パリの美術界の先端を行く芸術家たちとの交流から大きな糧を得て、近代建築の旗手へと生まれ変わっていった。

 本展の見どころは、「ル・コルビュジエ」誕生前夜とも言うべき、ピュリスムの画家としての若きル・コルビュジエの作品。そして、キュビスムを代表するパブロ・ピカソ、ジョルジュ・ブラック、フェルナン・レジェ、フアン・グリスの絵画、ジャック・リプシッツ、アンリ・ローランスの彫刻といった、ル・コルビュジエが多大な影響を受けた20年代パリの前衛美術の環境の再現だ。これら近代美術の巨匠たちの絵画・彫刻と、ル・コルビュジエの建築空間との融合は、国立西洋美術館本館がル・コルビュジエ設計であるからこそ可能な試みと言えるだろう。

 そして、ピュリスムの時代を経て思想を大きく進化させたル・コルビュジエが繰り広げた、絵画、建築、都市計画、インテリア・デザインといった広い領域での「近代の精神」の実現を目指す活動。それらをつねに支えていたのは、「人間に自由と幸福を与えるのは芸術であり、建築こそもっとも高貴な芸術である」という信念だった。本展では、同時代のアーティストやデザイナーとの協働によって実現した、20年代ル・コルビュジエの広範の業績も紹介する。

 来年開館60年を迎え、2016年にはユネスコ世界文化遺産にも登録された国立西洋美術館。ル・コルビュジエの思想が詰まったこの美術館で、ひとりの建築家が提唱し続けた「近代の精神」に触れたい。

編集部

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