2018.9.11

パリと東京をつなぐ建築の魅力。ル・コルビュジエに師事した建築家・坂倉準三の展覧会が、アンスティチュ・フランセ東京で開催

建築家・坂倉準三の展覧会「建築家・坂倉準三 パリ‐東京:生き続ける建築」が、坂倉が設計した飯田橋のアンスティチュ・フランセ東京で開催中だ。会期は9月6日〜30日。

©sakakura associates
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 坂倉準三は1901年岐阜県生まれ。東京帝国大学(現・東京大学)文学部美学美術史学科に入学後、建築を志すようになる。ル・コルビュジエに師事する意思を固め、29年に渡仏。37年、パリ万国博覧会日本館の設計でグランプリを受賞し、国際的に高い評価を受けた。

 東京・市谷のアンスティチュ・フランセ東京(旧東京日仏学院)は坂倉設計により51年に完成。同年の神奈川県立近代美術館をはじめ、渋谷や新宿で手がけた都市ターミナル、住宅や家具など坂倉の仕事は多岐にわたり、69年に没するまで約300もの実作を残した。

アンスティチュ・フランセ東京 アーカイブ

 坂倉の作品には、ル・コルビュジエやミース・ファン・デル・ローエに始まるモダン・ムーブメントの特徴も見られるいっぽうで、人と建物の関係に対する独自のとらえ方を感じることができる。坂倉は建物によって包み、守り、開放すべき感情を持つ存在として人をとらえ、人間のためのデザインを追求し続けた。

 2018年は日仏修好通商条約締結から160年の節目。本展では、両国を結ぶクリエイティブな関係の豊かさを象徴する坂倉の作品を、映像や写真、当時の資料によって紹介。そのエレガンスや大胆さ、そして温かさを浮き彫りにする。また、坂倉がデザインした天童木工の椅子も展示。来年に増築と改修を控えているという建築を、いまのうちに堪能したい。