ルネサンスから印象派までの絵画を被写体に。パリ拠点の写真家・小野祐次が個展を開催

パリ拠点の写真家・小野祐次の個展「Vice Versa ‒ Les Tableaux 逆も真なり−絵画頌」が、東京・六本木のシュウゴアーツで開催される。本展では、⼩野が1995年に着⼿して以来、撮影を重ねてきたタブローシリーズの近作が東京では14年ぶりに披露される。会期は12月12日〜2019年2月2日。

小野祐次 Claude Monet, Impression, Soleil Levant 2014 ゼラチンシルバープリント 89.5×112.5cm

 小野祐次は1963年福岡県⽣まれの写真家。現在はフランスを拠点に活動を行っている。これまで東京とパリを中心に個展を開催してきたほか、ドイツや中国でのグループ展にも参加。

 近年では、パリ・カルティエ財団で開催された展覧会「ヴードゥー展」(2011)のカタログやポスター、展覧会空間など、すべての撮影を手がけたことでも注目を集めた。その作品は高い評価を受け、ヒューストン現代美術館、パリ市⽴ヨーロッパ写真美術館、上海美術館、東京都写真美術館をはじめとする世界各国の美術館に所蔵されている。

 印象派誕⽣以前の19世紀、当時の写実絵画の画家たちに危機感を抱かせた写真技法。小野は写真芸術家として、⼈⼯の光が登場する以前の画家たちの作品から、アトリエの外に出て⼤気、光、時間の移ろいをキャンバスにとらえようとした印象派の画家たちの作品まで、16世紀から18世紀にかけての絵画をモチーフに、写真でしか成し得ない表現を⻑年追い求めてきた。

小野祐次 Hans Holbein, Ritratto di Enrico VIII(Henry VIII) 2001 ゼラチンシルバープリント 112.5×89.5cm

 今回、東京・六本木のシュウゴアーツで開催される個展「Vice Versa ‒ Les Tableaux 逆も真なり−絵画頌」は、⼩野が1995年に着⼿して以来、撮影を重ねてきたタブローシリーズの近作を、東京では14年ぶりに披露する機会となる。 

 同シリーズは、ルネサンスから印象派までの絵画を被写体に、美術館に注ぎ込む⾃然光や微かな明るさのもとで撮影され、小野はそういった制作プロセスによって「可能なかぎり時間を遡り、当時の画家たちと同じ条件に⾝を置いて」撮影することを徹底している。絵画史と写真史の交差を作品化することを試みた同シリーズに注目したい。

編集部

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