藤本由紀夫は1950年名古屋生まれ。「音とモノ」を出発点に聴覚、視覚、嗅覚、触覚を刺激する独創的な作品を発表してきた。近年では「第52回ヴェネチア・ビエンナーレ」(2007)に参加、同年に国立国際美術館・⻄宮市⼤⾕記念美術館・和歌⼭県⽴近代美術館で個展を同時開催するなど、国内外で活動している。
本展では、1990年の代表作《STARS》を、昨年六本木へ移転したシュウゴアーツの空間で改めて展示。さらに新作も発表される。
《STARS》は規則的に1音ずつ発する54個のオルゴールからなる作品。そこから生まれるランダムな音の集合は、自然と鑑賞者に音のパターンをとらえさせる。まるで無数に広がる星々から星座を結びつけるように、そのパターンは規則的な時間軸上に配列されていく。さらにオルゴールが配置された場所が結ぶ線によって空間的なパターンも生まれ、時間的な体験と空間的な体験、両方をつくり出す作品となっている。