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フェルメール8点がついに来日。過去最大の「フェルメール展」が開幕

開催前より大きな注目を集めてきた「フェルメール展」が10月5日よりスタートする。過去最多となるフェルメール作品が集結する本展の様子を、レポートでお届けする。

ヨハネス・フェルメール 牛乳を注ぐ女 1660頃 アムステルダム国立美術館蔵 Purchased with the support of the Vereniging Rembrandt, 1908 ©Rijksmuseum, Amsterdam

 2017年秋にその開催が発表されて以降、大きな注目を集めてきた「フェルメール展」が10月5日に開幕する。

 ヨハネス・フェルメール(1632〜1675)は、言わずと知れた17世紀のオランダ絵画黄金期を代表する画家のひとり。《真珠の耳飾りの少女》をはじめ、《牛乳を注ぐ女》や《デルフト眺望》などの作品で広く知られ、世界的にも高い人気を誇っているが、その作品は37点(真贋の決着がつかないものを含む)しか現存していない。

報道内覧会には多くのメディアが詰めかけた

 本展は、そのうち8点が一堂に集結するもの。これは、2008年に東京都美術館で開催され、93万人の来場者数を記録した「フェルメール展」の7点を超える数字だ。

 会場構成は「第1章 オランダ人との出会い:肖像画」「第2章 遠い昔の物語:神話画と宗教画」「第3章 戸外の画家たち:風景画」「第4章 命なきものの美:静物画」「第5章 日々の生活:風俗画」「第6章 光と影:フェルメール」の全6章。

第2章の展示風景。左からパウルス・ボル《キュディッペとアコンティオスの林檎》(1645-55頃)、ヤン・ファン・ベイレルト《マタイの召命》(1625-30頃)

 フェルメールの作品はこの第6章にまとめて展示されており、一度に8点の作品を鑑賞できる貴重な場所となっている。

 出品作は《牛乳を注ぐ女》をはじめ、《マルタとマリアの家のキリスト》《手紙を書く婦人と召使い》《手紙を書く女》《リュートを調弦する女》《真珠の首飾りの女》《赤い帽子の娘》《ぶどう酒のグラス》。なかでも、《赤い帽子の娘》(12月20日までの展示)と《ぶどう酒のグラス》は今回が日本初公開となる。

 これに加え、会期末の2019年1月9日~2月3日には9点目となる《取り持ち女》も展示されるので、こちらも忘れずに鑑賞したい。

展示風景より右がヨハネス・フェルメール《手紙を書く婦人と召使い》(1670-1671頃、アイルランド・ナショナル・ギャラリー蔵 Presented, Sir Alfred and Lady Beit, 1987 (Beit Collection))

 

左はヨハネス・フェルメール《赤い帽子の娘》(1665-66頃、ワシントン・ナショナル・ギャラリー蔵 National Gallery of Art, Washington, Andrew W. Mellon Collection, 1937.1.53) ※12月20日まで展示
本展で最大のフェルメール作品《マルタとマリアの家のキリスト》(1654-56頃、スコットランド・ナショナル・ギャラリー蔵  National Galleries of Scotland, Edinburgh.  Presented by the sons of W A Coats in memory of their father 1927)

 本展では、17世紀オランダ絵画の広がりと独創性を紹介するというコンセプトも忘れてはならない。1〜5章のなかでも、とくに注目したいのがフェルメールとほぼ同年代のハブリエル・メツー(1629〜1667)による《手紙を書く男》と《手紙を読む女》だ。これらはその名の通り、女性に宛てて手紙(恋文)を書く男と、その手紙を読む女が描かれた対の作品。

第5章より、左からハブリエル・メツー《手紙を書く男》(1664-66頃)、《手紙を読む女》(1664-66頃)

 これらの作品には、光の表現や構図、背景、女性の衣装など、フェルメールからの影響を受けていると考えられており、オランダ風俗画のなかでもトップクラスの作品だと言われている。

 フェルメール・ルームが会場の最後に待ち構えているので、思わず歩を速めてしまうかもしれないが、これらの作品も鑑賞しつつ、フェルメールを相対的にとらえる機会として本展を楽しみたい。

第1章の会場風景
第2章の会場風景
第3章よりアブラハム・ブルーマールト《トビアと天使のいる風景》(1610-20頃)
第4章の会場風景。手前はヤン・デ・ボント《海辺の見える魚の静物》(1643)

編集部

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