2018.10.20

知覚の断片、像の移り変わり。富田正宣の個展「なぞるノロマ」が開催

油絵具による絵画を手がけるペインター、富田正宣の個展「なぞるノロマ」が東京・駒込のKAYOKOYUKIで開催される。会期は10月21日〜11月18日。

富田正宣 なぞるノロマ 2018

 富田正宣は1989年熊本県生まれ、2013年に東京藝術大学絵画科油画専攻を卒業。今年は「Studio Exhibition」(大野智史スタジオ、山梨)、Hikarie Contemporary Art Eye vol.9 小山登美夫監修「through the glasses」(渋谷ヒカリエ)などに参加。同ギャラリーでの個展は、2016年「quiz」に続いて2度目の開催となる。

 富田はこれまで一貫して、油絵具を用いた制作を行ってきた。一見すると抽象画のような絵画は、身のまわりの些細なモチーフや風景を描いたスケッチが出発点。幾重にも塗り重ねられた油絵具の層を凝視すると、人の姿や風景の輪郭が浮かび上がるかのようだ。

 本展タイトルの「ノロマ」は、ある像が浮かび上がっては移り変わる瞬間を描き留めようとするときの、スローモーションのような時間を意味する言葉。そこに具体的な図像がなくとも、それぞれの描画は富田の知覚をなぞり、画面に定着していると言える。

 本展では、新作の絵画を中心に発表。引き伸ばされた時間が積層する絵画を、じっくりと時間をかけて探索したい。