これまでの石彫にはない軽快さ。
彫刻家・大野綾子が個展
「さかなのような人」を開催

大野綾子の個展「さかなのような人」が、東京・駒込のKAYOKOYUKIで開催される。本展では、自然風景や人々の生活に潜むありとあらゆる事象をかたどった石彫作品が並ぶ。会期は7月7日〜8月5日。

大野綾子 直物と花(風)

 大野綾子は1983年埼玉県生まれの彫刻家。「第7回大黒屋現代アート公募展」(2012)で大賞を受賞し、近年では「所沢ビエンナーレ『引込線』」(2017)や「Reborn-Art Festival」(2017)にも参加するなど、精力的に活動している。

 大野は学生時代より一貫して石彫を制作。「花」「蕾」「木」「葉」などの植物や、「滝」や「川」など水が流れる自然風景から着想を得て、独特のかたちに起こしている。また、「人間の横顔」や、「泳いでいるときの身体の輪郭」「スコップ」「ハイヒール」などの身近な道具や日常的な行為からもイメージを集め、人々の生活に潜むありとあらゆる事象を石に留めていく。

大野綾子 ひと1

 「石を削るという引き算の手法でありながら、足して付けるというイメージも同時に持ち判断していく」という大野は、最初に思い描いたかたちのイメージを損なうことなく、物質との調和とバランスを図りながら完成に近づけようと試みる。

 硬質で重量のある石が、柔らかく見えたり軽く見えたりするなど、これまでの石彫にはなかった軽快さを持つ大野の作品。作業工程の複雑さを想起させない、石であることすらも忘れてしまうほどの軽快さで鑑賞者を楽しませてくれるだろう。

編集部

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