「みちのおくの芸術祭 山形ビエンナーレ」は、東北芸術工科大学が主宰する芸術祭。今回で3回目を迎える本芸術祭は、今年も国の重要文化財である「文翔館」をメイン会場とし、9月1日から24日までの週末限定で多彩なプログラムが展開されている。
総合プロデューサーは、東北芸術工科大学学長でもある中山ダイスケ、プログラムディレクターは宮本武典、芸術監督は山形県出身の絵本作家・荒井良二だ。
今年の開催テーマは「山のような」。東北の暮らしと地域文化への深い洞察をベースに、現在の山形を表した(=山のような)作品を展示するとともに、山形の過去と未来に光を当てる創造的なアイデアや協働を「山のように」生み出す芸術祭を目指している。
本芸術祭の構成は「展示」「ライブ&トーク」「上映会&連携プログラム」の3つに分かれており、それぞれ多様なアーティスト。各会場は山形市内に点在しており、各地をめぐりながら楽しむことができる。
東北芸術工科大学キャンパス内で開催される企画展「山のような100ものがたり」では、民俗/博物資料とともアート作品を展示することを通じて「山形の新たな見え方」を探るようなアプローチを見せている。
同展は、会場を「ラボラトリー」「インキュベーション」「コンテンポラリー」「コラボレーション」「アーツ&クラフツ」の5つのゾーンに分割。研究者たちが見つけ出した風景の奥底にある真実と、それに触発されたアーティストたちによる100作品で展開される展示空間に期待が高まる。
本芸術祭ではこのような数々の作品展示のほか、東北芸術工科大学が2017年に実施した「市(いち)プロジェクト」の成果も合わせて発表となる。「市(いち)プロジェクト」とは、人口減少が進む地方都市で、ものづくり中心の暮らしを成り立たせていくための新しいコミュニケーションの場を考え、実践していくアートマネジメント人材育成プログラムのこと。先人たちの知恵や技術を、アートやデザインの視点から掘り起こして、これからの地域づくりに活かしていく道筋を考えていくことを試みている。