中通りから浜通りまでエリアを拡大した
福島ビエンナーレ2018。失われゆく文化に触れて生まれる芸術とは

今年も夏から秋にかけて、日本全国で様々な展覧会や芸術祭が目白押し。作品との出会いはもちろん、その場所でしか見られない景色や食事も一緒に楽しめるスポットをピックアップ。最終回となる第8回は、福島県・福島市、二本松市、南相馬市で開催される福島ビエンナーレ2018を紹介する。

文・構成=小林紗友里

福島ビエンナーレ2012年の福島空港で展示されたヤノベケンジの《サン・チャイルド》。今夏、福島市に寄託された。二本松、南相馬間の「アートバス」ルートでも鑑賞できる。

福島ビエンナーレ2012年の福島空港で展示されたヤノベケンジの《サン・チャイルド》。今夏、福島市に寄託された。二本松、南相馬間の「アートバス」ルートでも鑑賞できる。

 福島大学が中心となって2004年にスタートし、東日本大震災以後は「福島の伝統文化と東日本大震災後のFUKUSHIMA」をキーワードに開催されてきた「福島ビエンナーレ」。今回は、16年に福島県・中通りの二本松市で行われた「重陽の芸術祭」とともに、新たに浜通りの南相馬市で行われる「海神の芸術祭」ともつながり、2つの拠点でより広範囲にわたって開催されることとなった。

2016年に高村智恵子の生家・二本松市智恵子記念館で行われた小松美羽の公開制作の様子。
今年は大山忠作美術館で小松の作品展を大規模に開催

 二本松市では、二本松市智恵子記念館で高村光太郎、高村智恵子、切り絵作家・福井利佐の作品を展示、大山忠作美術館では小松美羽の大規模な個展を開催。一方の南相馬市では、埴谷雄高と島尾敏雄の文学資料館で作品を展示、大正時代に建てられた映画館・朝日座では遠藤ミチロウのライブや『KUROZUKA 黒塚』の上映などを行う。ほかにも福島市でヤノベケンジによる希望のモニュメント《サンチャイルド》が再展示されるなど、福島の様々な場所で、多様なメディアを使った作品が展開される。

 アーティストたちが失われつつある地域文化に触れ、新たに生み出した芸術を体験しに、福島を訪れてみては。

《黒塚KUROZUKA》三部作。平山素子、大野慶人、舘形比呂一主演のダンス映像。写真は《KUROZUKAⅡ 黒と光》(2015)より。主演:大野慶人、監督:古田晃司、企画・美術:渡辺晃一

参加アーティスト

荒井経、今井トゥーンズ、伊藤有壱、遠藤ミチロウ、開発好明、岩根愛、君平、小松美羽、サガキケイタ、坂内直美、鈴木樹里、鈴木美樹、二瓶野枝、村澤丈児、灰原千晶、福井利佐、古川弓子、ヤノベケンジ、若木くるみ、渡辺晃一、ワタリドリ計画、ドミニク・アリアディエール、カザリス・アラン、ブリジット・カーナルグエン、ミュリエル・リガール、フィリップ・ブロッケン、セシール・ブライスほか

『美術手帖』2018年8月号「この夏・秋に行きたい!全国アートスポットガイド」より))