EXHIBITIONS

BIWAKOビエンナーレ2018

滋賀県近江八幡旧市街(まちや倶楽部、旧中村邸、村雲御所瑞龍寺門跡、八幡山展望資料館 ほか)
2018.09.15 - 11.11

池原悠太 幻視 2016 BIWAKOビエンナーレ2016での展示風景

榎忠 薬莢 / Cartridge 2012 兵庫県立美術館 撮影=豊永政史(SANDWICH GRAPHIC) © Chu Enoki

江頭誠 お花畑 2016

井上剛 ヒのマ ─門─ 2016 BIWAKOビエンナーレ2016での展示風景

八幡堀。近江八幡は江戸時代に水運によって発展し、近江商人を生んだと言われる。
屋形船で遊覧したり、堀脇の遊歩道を散歩することもできる。

 豊臣秀次が築いた城下町を基礎に、近江商人発祥の地として発展した近江八幡旧市街の魅力を発信するとともに、アートを通して、残された貴重な建物の保存と活用を試みる「BIWAKOビエンナーレ」。「きざし~Beyond」をテーマとする今回は、国内外アーティスト約70組の作品が集結する。

 会場となる近江八幡旧市街には、住み手を失った町家や工場など、江戸時代に丹精を込めて建てられた貴重な建物が点在。元酒工場の大空間では、金属部品を用いたインスタレーションを展開する榎忠が薬莢(やっきょう)の作品を発表するほか、2017年スパイラル大賞受賞作家・江頭誠が元畳問屋の離れ空間をまるごと作品化する。また、ガラス作家の小曽川瑠奈の展示空間と建築家の赤澤林太郎がつくる茶室空間には、作品をイメージした香が焚かれ、香りの演出も加わる。

 ノーベル平和賞部門の音楽を共同製作するなど、多方面での活躍を見せるスウェーデンの作曲家・林小百合はインタラクティブな作品を展示。シンガポールビエンナーレでも活躍したライアン・ヴィラマエルと映像作家のステファン・ラーソンは、町家の約30畳の大空間でコラボレーション展示を行うほか、筑波大学で教鞭を執る菱田真史が、科学とアートを融合させた作品を展開する。そのほかの出品作家に、長谷川早由、井上剛、山田正好、野田拓真、オージック、ガブリエラ・モラウェッツ、マチュー・キリシら。

 関連企画には、日中とは異なる建物と作品たちの表情を見ることができるナイトツアーも開催。滋賀県ゆかりの写真家・辻村耕司が各地の隠れた魅力を撮影した写真とともに、滋賀に根づく伝統工芸や産業などを紹介する展示会場も設けられる。

 ゆったりとした時間が流れる風情ある町で、忘れ去られた建物たちが生き生きと輝きを取り戻すさまを作品とともに楽しみたい。