生命を育む「四元素」に注目。水と土の境界に出現する壮大なアートの架け橋、水と土の芸術祭

今年も夏から秋にかけて、日本全国で様々な展覧会や芸術祭が目白押し。作品との出会いはもちろん、その場所でしか見られない景色や食事も一緒に楽しめるスポットをピックアップ。第5回は、新潟県の水と土の芸術祭を紹介する。

展示風景より。松井紫朗《Soft Circuit》の内部の様子

展示風景より。松井紫朗《Soft Circuit》の内部の様子

 新潟県北東部、日本海に面した新潟市を舞台に、「水」と「土」という根源的物質をタイトルに掲げた芸術祭が今年も開催される。2009年に始まり、4回目を数える今回のコンセプトは「メガ・ブリッジ―つなぐ新潟、日本に世界に―」。「アートプロジェクト」としては塩田千春、岩崎貴宏、松井紫朗ら国内外の作家38名が参加。新潟を訪れて作品を制作し、新潟市の中心地にある万代島の旧水揚場跡地を利用したメイン会場をはじめ市内18会場に展開する。

展示風景より。塩田千春《どこへ向かって》(2018)

 市民が積極的に参加していることも特徴のひとつである本芸術祭では、「市民プロジェクト」も充実。藤浩志がディレクターを務め、市内全域で84件のプロジェクトが企画されている。

 また、「にいがたJIMAN」なるプロジェクトでは、音楽家の大友良英がオーケストラNIIGATA!」と題し、「音が出るもの」を持ち寄った市民100人を率いて即興演奏をするほか、劇団・マームとジプシーの藤田貴大がワークショップを通じて演劇作品を公開。さらに、新潟の食や伝統芸能を満喫できる催しも多数実施される。

展示風景より。岩崎貴宏《untitled》(2018)

 「水」と「土」の恵みをダイレクトに享受してきたこの土地で、その術を脈々と受け継いできた人々とつくり上げる芸術祭は、新潟の魅力だけではなく、私たち人類に共通する根源的な要素を再認識させてくれるはずだ。

総合ディレクター 谷新さんに聞くみどころ

 信濃川と阿賀野川が水と土砂を運び、多くの潟湖が形成されてできた新潟は、「水」と「土」に象徴されます。そしてそれは、〈地水火風〉という「四元素」を思わせます。また、かつて北前船の最大の寄港地であった新潟は、日本海を囲むアジア諸国をつなぐ玄関口として栄えてきました。そこで今回は「四元素とそれによって育まれる生命」「環日本海」を展示の大きな柱に。それらにまつわる作品を見ていくうちに、新潟から世界にかかる架け橋を発見していただけるでしょう。お米はもちろん、日本酒も美味しいものがたくさんありますよ。

展示風景より。青木野枝《立山 - 2018 / 砂丘館》(2018)

参加アーティスト

青木千絵、青木野枝、池内晶子、伊藤公象、岩崎貴宏、遠藤利克、大西康明、折元立身、塩田千春、セルゲイ・ヴァセンキン、ナウィン・ラワンチャイクン、潘逸舟、日比野克彦、松井紫朗、森北伸、山内光枝、大友良英、藤田貴大 ほか

『美術手帖』2018年8月号「この夏・秋に行きたい!全国アートスポットガイド」より))