群馬県・太田市 美術館と図書館の複合施設である太田市美術館・図書館で、「本」と「美術」の架橋を目指して実施する「本と美術の展覧会」の第2弾となる展覧会「ことばをながめる、ことばとあるく―詩と歌のある風景」を開催する。
詩と歌(短歌)がテーマとなる本展。画家が絵具を素材とするように、言葉を用いて表現・思考の新たな地平を切り開く詩人や歌人の作品が、グラフィックデザイナーや画家、そしてイラストレーターたちと共同し、本という居場所を離れて展示室に現れるという内容だ。
展示構成は「詩×グラフィック――最果タヒ、佐々木俊、祖父江慎、服部一成」「詩×絵画――管啓次郎、佐々木愛」「短歌×イラストレーション――大槻三好・松枝、惣田紗希」の3章構成。
「詩×グラフィック」では、『死んでしまう系のぼくらに』をはじめとする詩集や小説、エッセイからアニメやゲーム、ロックバンドの歌詞提供など多分野に活動の幅を広げている最果タヒの詩を、これまでその著作の装丁やデザインを手がけてきた佐々木俊、祖父江慎、服部一成という3組のグラフィックデザイナーがそれぞれの解釈とアプローチで表現する。
「詩×絵画」で展示されるのは、詩人である管啓次郎と、絵画やインスタレーションを手がける佐々木愛が2009年から行っているプロジェクト「WALKING」。ふたりが各地を歩き、生まれた詩と絵画の合作だ。本展では太田の散策を経て制作された新作も発表される。
そして「短歌×イラストレーション」では、ともに歌人である大槻三好・松枝夫妻の作品と、シンプルな線描と色彩で少女や風景を描き出すイラストレーター惣田紗希による太田の風景をモチーフにした新作壁画とともに展示する。
本ではなく、展示室で文学作品を楽しむことができる本展。言葉を様々な視覚表現とともに鑑賞することで、詩と歌の新たな鑑賞体験をすることができるだろう。なお、展示室の空間構成は豊嶋秀樹が、ヴィジュアルデザインは平野篤史が手がけている。