夏目漱石が頻繁に通ったことから「坊っちゃん湯」としても親しまれている愛媛県松山市・道後温泉本館。その道後を舞台に開催されている「アートにのぼせろ〜温泉アートエンターテイメント〜」をテーマにしたアートフェスティバル「道後オンセナート 2018」の参加作家のなかから4名が、夏目漱石の小説『坊っちゃん』をテーマにした作品を愛媛県美術館で発表する。
参加作家のうち、ブックデザイナー・アートディレクターの祖父江慎は本展全体のディレクションも担当。漱石の書き間違えもあえてそのまま活かした無修正版『心』を発表した祖父江がどのような展示を見せるのか注目したい。
「男子」シリーズ、「女子中学生」シリーズなどに見られるように、日常の中に潜んでいる様々な光景を独自の観察眼で捉えた作品で知られる写真家の梅佳代は、市内の中学校の野球部男子生徒を「坊っちゃんたち」として活き活きととらえた作品を発表する。
いっぽう、写真家の浅田政志は『坊っちゃん』の名シーンや登場するアイテムをユーモアを交えた視点で撮り下ろす。
そして動物を等身大の木彫で表現する「アニマルズ」シリーズで知られる彫刻家の三沢厚彦は、『坊っちゃん』にも登場する猫や漱石をモチーフにした新作を発表する。
アートフェスティバル「道後オンセナート 2018」とあわせて、漱石も愛したという道後の魅力と、これまでにない「坊っちゃんワールド」を楽しんでみてはいかがだろうか。