幕末から明治にかけて活躍した浮世絵師、月岡芳年(つきおか・よしとし)の回顧展「芳年ー激動の時代を生きた鬼才浮世絵師」が、東京・練馬区立美術館で開催される。
弱冠12歳で武者絵の名手・歌川国芳に入門した芳年は、その門下で武者絵、歴史画、美人画など幅広いジャンルの作品に着手した。
幕末期は武者絵を中心に、美人画、戯画なども合わせて発表。その後明治維新の経験を受け、初期の武者絵からよりリアルな戦闘画へと発展させていき、センセーショナルな作風は「血みどろ絵」と呼ばれるようになった。
そんな「血みどろ絵」のイメージが根強い芳年だが、「大蘇」と名乗るようになってからは、西南戦争を取材した作品や新聞挿絵、歴史画、風俗画を描き、一躍人気を博した。
晩年の10年間は、武者絵や物語絵の可能性にこだわった錦絵を描き続け、その独自の世界観は、今日もなお「最後の浮世絵師」として高く評価されつづけている。
本展では、個人コレクションとしては質・量ともに世界屈指とされる西井正氣の芳年コレクションの中から263点を厳選して展示。幕末、明治の浮世絵の泰斗、月岡芳年の画業を一望できる機会となる。