1928年から浮世絵に培われた伝統木版技術を継承する彫師・摺師をかかえる木版の工房兼版元、アダチ版画研究所。同研究所では、これまで草間彌生や山口晃をはじめとする数々のアーティストとコラボレーションし、「現代の浮世絵」を生み出してきた。
そんなアダチ版画研究所と新たに作品を生み出したのが、台湾で生まれ、現在はロサンゼルスを拠点とするジェームス・ジーンだ。ジーンはデビュー以来10年以上にわたり、ニューヨーク、ロサンゼルス、ロンドン、香港、そして東京など、世界各地で展覧会を開催。2008年にはプラダとの大々的なコラボレーションを行い、その後もAppleやBeats by Dreといったブランドとの共同プロジェクトに携わってきた。また、今年に入ってからは2018年アカデミー賞受賞で話題となった映画『シェイプ・オブ・ウォーター』のポスターも手がけるなど、その注目度はますます高まっている。
今回は、浮世絵や日本の伝統木版技術に高い関心を持つジーンが絵師となり、現代の彫師、摺師が伝統木版技術を駆使し、現代の浮世絵《Dolly Varden》を制作。滑らかで優美な線をもって描かれた女性像は、ジーンの創造の源としてのミューズを表している。
同作は100部限定で販売されたが、アダチ版画研究所での販売分はすでに終了。個展「AZIMUTH」(5月3日まで)開催中のKaikai Kiki Galleryでも展示販売されてるので、こちらもチェックしてほしい。