建築のヒエラルキーを裏返し?
トラフ建築設計事務所による
「インサイド・アウト」展で
今後の都市のあり方を考察する

2016年にTOTOギャラリー・間で開催され反響の大きかった鈴野浩一と禿真哉による建築家ユニット、「トラフ建築設計事務所」による展覧会「トラフ展 インサイド・アウト」の巡回展が、北九州市のTOTOミュージアムで開催される。会期は8月21日〜12月23日。

トラフ展 インサイド・アウト 2016 ©大木大輔

 「トラフ建築設計事務所」は、鈴野浩一と禿真哉によって2004年に設立。建築的な思考をベースに、建築の設計以外にも、インテリア、展覧会の会場構成、プロダクトデザイン、空間インスタレーションや映像制作にも参加するなど、その活動は多岐にわたる。

 おもな作品として、2011年のミラノ・サローネで「光の織機」が会期中の最も優れた展示としてエリータデザインアワードの最優秀賞に選ばれたほか、15年には「空気の器」がモントリオール美術館において永久コレクションに認定されるなど、いま国内外から注目されているユニットだ。

光の織機(Canon Milano Salone) 2011 © 大木大輔

 本展の「インサイド・アウト」(Inside Out=裏返し)というタイトルは、トラフがこれまで「都市>建築>インテリア>家具>モノ」といったヒエラルキーにとらわれず活動してきたことを表象してつけられたもの。

 本展は、初期から近年にかけて発表されたトラフ作品の制作過程から完成までを一挙に紹介。試行錯誤のなかで手がかりとなったものや、インスピレーションを受けた素材を展示することで、鑑賞者にトラフの思考過程を追体験させることを試みる。

 加えて、本展のために制作されたオリジナル映像も展示されるほか、トラフ監修の「空気の器」が空間全体に配置され、鑑賞者はインタラクティブにトラフの世界観を楽しむことができるという。ときに人の流れや行動、街の様相までをも変える力を持つトラフ。本展をきっかけに、今後の建築や都市のあり様を再考したい。

編集部

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