2017.2.10

『暮しの手帖』花森安治の生涯を
世田谷美術館で振り返る

世田谷美術館(東京)にて、雑誌『暮しの手帖』(暮しの手帖社)の編集長を務めた花森安治の活動や思想を紹介する展覧会「花森安治の仕事─デザインする手、編集長の眼」が開催される。会期は2月11日~4月9日。

中吊り広告「暮しの手帖 1世紀99号」 デザイン=花森安治 1969年2月1日刊行用 世田谷美術館蔵
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 編集者、服飾評論家、コピーライター、グラフィックデザイナー、ジャーナリストなど、多くの顔を持ち、活動した花森安治(はなもり・やすじ、1911〜1978)。なかでも、戦後まもない1948年に「工夫とアイデア」による豊かな暮らし方を提案した生活家庭雑誌『美しい暮しの手帖』(のちの『暮しの手帖』)を創刊し、初代編集長を務めたことで知られる。

 同誌の取材や執筆に加えてデザインや宣伝までをも手がけ、時流に合わせた衣食住の情報を発信し続けた花森。大量生産が始まった高度経済成長期には「日用品の商品テスト」を実施し、食品添加物や公害が話題になると社会問題を扱った批評を掲載するなど、生活者の目線で権力に挑む誌面をつくり続けた。

 本展は、花森の活動を、領域や媒体を超えたひとつの「運動」ととらえ、時系列順に総覧しながらその思想を探る構成。暮しの手帖社の全面協力を得て、写真や資料、花森の愛用品まで約750点を公開する。