学生時代からマンガ家として注目されてきた佐々木マキは、雑誌「ガロ」や「朝日ジャーナル」などで独創的なマンガを発表してきた。1973年に絵本『やっぱりおおかみ』で絵本作家として衝撃的なデビュー遂げると、その後『ぼくがとぶ』『ムッシュ・ムニエルをごしょうかいします』『ねむいねむいねずみ』など数多くの絵本を発表し、絵本作家として第一線で活躍している。その一方で、村上春樹らの小説の挿絵を手掛けるなど、幅広い年代に親しまれている。また、2011年には初期のマンガを収録した作品集『うみべのまち 佐々木マキのマンガ1961-81』が刊行され、前衛的・実験的と評された当時のマンガ作品に再び注目が集まっている。
本展では、佐々木マキの約45年間の多岐にわたる創作活動を振り返る初めての展覧会で、マンガや絵本の原画のほか、挿絵や装丁画、版画、写真、陶製フィギュアなど約180点が展示される。なかでもマンガ「ピクルス街異聞」「うみべのまち」と、絵本作家としてのデビュー作『やっぱりおおかみ』の原画は、それぞれ全点が展示されることとなり、かつて「ガロ」を愛読していた世代から、現在絵本に親しんでいる小さな子どもたちまで、佐々木マキのシュールな不思議世界を楽しむことができるだろう。