INTERVIEW / PROMOTION - 2020.1.9

持続可能なアートフェアに。「台北當代」共同ディレクター、マグナス・レンフリューに聞く

昨年、台北に新たに設立されたアートフェア「台北當代(タイペイダンダイ)」。「初回のフェアとして最強の出展者リスト」と言われた同フェアには、ガゴシアンやハウザー&ワース、ペロタンなどのメガギャラリーをはじめ、90のギャラリーが集結し、2万8000人以上の来場者を記録した。2回目の開催を目前に、同フェアの設立者・共同ディレクターであるマグナス・レンフリューに話を聞いた。

聞き手=編集部

マグナス・レンフリュー Courtesy of Taipei Dangdai. Photo by Sean Wang
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──まず、初回の「台北當代(以下、當代)」について振り返るべきことがあれば教えてください。

 初回の當代では、非常に順調なスタートを切ることができました。ギャラリーのラインナップは優れており、台湾内外のコレクターやアートコミュニティーからの参加がたくさんありました。もっとも印象的だったのは、ギャラリーが展示した作品の質が高かったことでした。これは、参加ギャラリーが台湾市場を重視していることの証しでもあります。クオリティ面での“内部競争”のレベルは、2020年に向けてさらに向上するでしょう。

──出展ギャラリーの数が90から99に増えるほか、2回目の當代ではどのようなアップグレードが行われるのでしょうか?

 「アイデアズ・プログラム」を拡張しました。このプログラムはアート界の専門家たちによるトークプログラムであり、フェア開催の数週間前から始まっています。また、通路を拡張することで、来場者がより快適に鑑賞できるようにしています。加えて、台北市の中心部にあるDong Galleryなどの大規模なデジタルスクリーン(長90メートル)との連動や、若手アーティストとのコラボレーションなど、私たちはアートを会場から街に持ち込むことにも取り組んでいます。

キム・テヨン Drifters v1.04 Courtesy of the artist and Whistle. Photo by Dong Gallery

──昨年、ロビン・ペッカムさんが共同ディレクターとして當代のチームに加わりました。ふたりはどのように仕事を分担しているのでしょうか? また、ペッカムさんが加わってから、レンフリューさんの仕事の重心はどのように変わりましたか?

 ロビンがチームに加わったことはとてもエキサイティングでした。ロビンは台北に移住し、いまでは1年を通して現場で活動しています。彼の流暢な中国語力は、私たちが地域との関わりを広げ、深めるのに役立っています。昨年、ロビンの主な仕事は、アートフェア組織の仕組みを理解しながら、トークプログラムからフェアでのインスタレーション、市内のパブリック・アートプロジェクトに至るまでの、キュラトリアルコンテンツの側面にありました。彼はまた、中国語メディアとのエンゲージメントも担当しています。過去6週間、私はメディアやコレクター、ギャラリーにフェアに参加するよう遊説してきました。物事を推進するためには、十分なリソースを確保することが重要なのです。ロビンと私は、チームのほかのメンバーと協力し、フェアを持続可能な形式で毎年開催する準備ができています。

──台北でアートフェアを開催する理由は、台湾のコレクターに潜在力があるからだと聞きました。実際はどうでしたか?

 台湾のコレクターはアジアでもっとも洗練されたコレクターです。彼らは昨年、非常に強い存在感を示していました。オークションハウスの経営陣からは、来場した顧客の数や、ギャラリーからの購入に慣れているコレクターの数に驚いたというコメントが数々寄せられました。また、台北を拠点とするギャラリーからは、台中や台南、高雄などほかの主要都市のコレクターに会うことができたという肯定的なコメントもありました。ギャラリー全体が非常に満足しています。

──​​​​​​​初回には日本のギャラリーが多数参加しました。今回では、カイカイキキなど初出展のギャラリーを含め、日本からより多くのギャラリーがフェアに出展することになっています。日本のギャラリーのパフォーマンスについてはどうお考えですか?

 日本のギャラリーシーンは非常に発達しています。出展者から関心を得るとともに、歴史的にも現代的にも質の高い作品を展示することができてとてもうれしく思っています。ギャラリーの売上は好調で、今年は再出展者に加えて、すばらしい初参加のギャラリーもあります。

台北當代2019の様子 Courtesy of Taipei Dangdai

──​​​​​​​昨年8月以来、中国政府は中国人の本土から台湾への個人観光旅行を制限しています。今回のフェア直前には、台湾で大統領選挙も行われ、台湾の政治状況がより不明瞭になります。台湾海峡の両岸関係は、當代にも影響を与えるでしょうか? これをどのように克服しますか?

 フェアが開催される頃にはすでに選挙は終わっており、地元の出資者たちはフェアにはほとんど影響がないと言っています。また、當代に参加しているギャラリーは、主に台湾およびその周辺地域のコレクターとの交流に関心があります。中国本土の市場はもちろん非常に重要ですので、12月初めに北京と上海でVIPイベントを行い、當代のオーディエンスとコレクターを増やすことができました。

──​​​​​​​レンフリューさんは今年、シンガポールで新しいアートフェア「ART SG」も設立しますね。東南アジアの美術市場をどう思いますか? またART SGと當代は、どのような関係ですか?

 アジア全体の美術市場は、12年前にART HKを立ち上げたときとはまったく異なります。東南アジアの人口はヨーロッパ以上の7億人を超えており、1人当たりのGDPはインドより高くなっています。大規模な国際的アートフェアにふさわしく、相当な潜在力があると言えるでしょう。當代とART SGは異なるフェアであり、それぞれのチームが日々の運営をしています。しかし、両フェアのためのVIPリレーション担当者のネットワークを構築するなど、協力体制もとっています。