10年の軌跡をたどる創作の旅
──今回の展覧会は『THE MONSTERS』の10年間を振り返る内容となっています。この10年を振り返って、ご自身にとってもっとも大きな変化はなんだったと思いますか。
ロン 先ほどもお話ししたように、私の出発点はあくまでも「物語を語りたい」という思いでした。
もともと『THE MONSTERS』は、妖精たちの物語を描くために始めたものであって、特定のキャラクターを大きなIPに育てようという発想はありませんでした。ですから、今日のようなかたちに発展することはまったく想像していなかったのです。予想を超える反響をいただき、『THE MONSTERS』は大きなIPへと成長しました。その過程で、私自身も少しずつ変化してきたと思います。

この10年間、プロジェクトごとに少しずつ調整を重ねながら、市場の反応や戦略を学び、作品を発展させてきました。そのなかでマーケットへの理解も深まりましたし、「自分にもこんなことができるんだ」と気づかされることも多くありました。
もともと私にとってトイは『THE MONSTERS』という世界の一部にすぎませんでした。しかし気がつけば、それ自体が作品を象徴する存在になっていました。そうした変化も含め、この10年は新しい発見の連続だったと思います。
──展覧会は複数のセクションで構成され、原画やスケッチ、絵画、立体など様々な作品が展示されています。展覧会全体をどのようなコンセプトで設計されたのでしょうか。
私はこの展覧会を、一種の「旅」として構成したいと考えました。会場を進むごとに、私自身の創作の歩みをたどれるようになっています。
絵画制作に集中していた時代には、世界各地で個展や展覧会を開きながら制作を続けていました。いっぽうで、3〜4ヶ月ごとに海外を訪れ、トイ関連の展示やイベントに参加していた時期もあります。
また、『THE MONSTERS TRILOGY』の3冊を手がけた頃は、ほぼ絵本制作だけに向き合っていました。そうした異なる時代や活動をひとつの流れとして見せることで、キャラクターの歴史だけでなく、私自身の創作の歩みと、『THE MONSTERS』というIPがたどってきた軌跡を感じてもらえたらと思っています。

──鑑賞者にはどのような新しい発見をしてほしいと考えていますか。
ロン この展覧会を通じて、LABUBUだけではなく、私自身についても知っていただけたらうれしいですね。
世の中には、LABUBUや『THE MONSTERS』は知っていても、私が絵を描いたり絵本を制作したりしていることまでは知らない方も多いと思います。なかには、「LABUBU=トイのキャラクター」というイメージしか持っていない方もいるでしょう。しかし、その背景には物語や絵本があり、長年続けてきた創作の積み重ねがあります。
私はキャラクターだけをつくっているのではなく、絵画や絵本など様々な方法で表現を続けている。そのことも、この展覧会を通して知ってもらえたらうれしいですね。



















