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Museum Start あいうえの インタビュー。10年目を迎えて、10年先のミュージアムの未来を描く

上野公園の9つの文化施設を舞台にした子供対象のラーニング・デザイン・プロジェクト「Museum Start あいうえの」が2023年に10周年を迎えた。10年間継続されてきたこのプロジェクトの3つのプログラム「ファミリー&ティーンズ・プログラム」「学校プログラム」「ダイバーシティ・プログラム」について深掘りしながら、今後目指すミュージアムの在り方について熊谷香寿美(東京都美術館 学芸員、アート・コミュニケーション係長)、小牟田悠介(東京藝術大学 芸術未来研究場 ケア,コミュニケーション特任助教)のふたりに話を聞いた。

聞き手・文=三澤麦(ウェブ版「美術手帖」編集部) 撮影=軍司拓実

「Museum Start あいうえの」運営チームの皆さん。今回インタビューしたのは、左端の小牟田悠介さん(東京藝術大学 芸術未来研究場 ケア,コミュニケーション領域特任助教)、右端の熊谷香寿美さん(東京都美術館 学芸員、アート・コミュニケーション係長)

10周年を迎えた「Museum Start あいうえの」

──2013年にスタートし、2023年に10周年を迎えた「Museum Start あいうえの」。その取り組みと、本プロジェクトが立ち上がった経緯について簡単に教えてください。

熊谷香寿美(以下、熊谷) 「Museum Start あいうえの」は、6歳から18歳を対象に、上野公園にある9つの文化施設が連携して子供たちのミュージアム・デビューを応援しようというプロジェクトです。このプロジェクトの背景にあるのは、2012年に東京都美術館と東京藝術大学の連携事業として始まった「とびらプロジェクト」というもので、同年の東京都美術館のリニューアルに合わせて新たに事業の柱となったアート・コミュニケーション事業の取り組みのひとつとなっています。一般公募の市民からなるアート・コミュニケータ「とびラー」と学芸員、大学教員が、ともに美術館を拠点にアートを介してコミュニティを育む活動を行っています。

 また、2012年当時、東京都は2020年開催の東京オリンピックの招致を目指しており、上野公園では東京の重要な文化発信地として子供やファミリー世代に親しまれる文化事業が望まれていました。とびらプロジェクトを開始していたことで、一般市民が美術館に関わり、協働する仕組みができていたため、これを基盤に子供とファミリーを対象とした文化施設が連携するプロジェクトができないかと考え、翌13年に「Museum Start あいうえの」が誕生したわけです。

すべての子供たちのミュージアム鑑賞をサポート。3つのプログラムとは?

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