専門家すら驚かせた発見
「今回の修復のきっかけは、実は日本からの貸し出し要請だった」と語るのは、クリストフ・シェルツェル博士。2017年からこの《窓辺で手紙を読む女》の修復を担当したドレスデン国立アートコレクションの修復師である。
「白い壁の下にキューピッドの絵が隠されていることは以前から知られていました。旧東ドイツ時代、1978年から1979年にかけてアメリカ各地で開催された『ドレスデンの輝き』という巡回展のためにこの絵が貸し出されたのですが、その際にあちらでX線撮影が行われたのです」。
この新発見についてドレスデンとアメリカで文献が発表されたが、当時はフェルメール自身がキューピッドの絵を塗りつぶしたというのが一致した見解だった。シェルツェル博士自身も、2017年まで疑問すら抱いたことはなかったという。