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250年以上の時を経て蘇ったフェルメール《窓辺で手紙を読む女》。その修復過程を追う

東京都美術館で開催が予定されている「ドレスデン国立古典絵画館所蔵 フェルメールと17世紀オランダ絵画展」。約70点の展示作品のハイライトは、フェルメールが描いたオリジナルの状態に修復された、初期の傑作とされる《窓辺で手紙を読む女》である。250年以上の間白い壁だった背景から、仮面を踏みつけるキューピッドの姿が現れたのだ。その修復の過程を追った。

文=河内秀子

修復されたフェルメール《窓辺で手紙を読む女》(1657-59頃) (C) SKD, Foto: Oliver Killig

専門家すら驚かせた発見

「今回の修復のきっかけは、実は日本からの貸し出し要請だった」と語るのは、クリストフ・シェルツェル博士。2017年からこの《窓辺で手紙を読む女》の修復を担当したドレスデン国立アートコレクションの修復師である。

 「白い壁の下にキューピッドの絵が隠されていることは以前から知られていました。旧東ドイツ時代、1978年から1979年にかけてアメリカ各地で開催された『ドレスデンの輝き』という巡回展のためにこの絵が貸し出されたのですが、その際にあちらでX線撮影が行われたのです」。

調査過程の様子。蛍光X線分析を行っているところ
© Gemäldegalerie Alte Meister, Staatliche Kunstsammlungen Dresden, Foto: Maria Körber

 この新発見についてドレスデンとアメリカで文献が発表されたが、当時はフェルメール自身がキューピッドの絵を塗りつぶしたというのが一致した見解だった。シェルツェル博士自身も、2017年まで疑問すら抱いたことはなかったという。

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