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2021.1.4

レンブラントから森山大道まで。2021年見逃せないアートムービー

2021年に公開される数多の映画から、アート・カルチャーの視点でとくに注目したい作品をピックアップ。公開日順に紹介する。

『過去はいつも新しく、未来はつねに懐かしい 写真家 森山大道』より (C)『過去はいつも新しく、未来はつねに懐かしい』フィルムパートナーズ
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エポックのアトリエ 菅谷晋一がつくるレコードジャケット(1月8日公開)

『エポックのアトリエ 菅谷晋一がつくるレコードジャケット』より ©2020「エポックのアトリエ」製作委員会 

 ザ・クロマニヨンズ、OKAMOTO’Sなどのレコードジャケットを手がけるデザイナー・菅谷晋一。『エポックのアトリエ 菅谷晋一がつくるレコードジャケット』は、そんな菅谷の制作風景を追ったドキュメンタリーだ。菅谷は大学では建築を学び、その後は家業の町工場で働くという異色の経歴を持ったデザイナー。その後、独学でデザインを学び、以来20年あまりにわたり、レコードジャケットをはじめとする作品を生み出し続けてきた。

 本作では、菅谷の作品だけでなく生き方にも共鳴した映像作家・南部充俊がメガホンを取り、オンリーワンの存在である菅谷の姿を収録。菅谷のひたむきに好きなことに夢中になる姿に注目だ。

公開:2020年1月8日より新宿シネマカリテほかにてロードショー
プロデューサー・監督・編集:南部充俊 
出演:菅谷晋一、ザ・クロマニヨンズ<甲本ヒロト、真島昌利、小林勝、桐田勝治>、OKAMOTO'S<オカモトショウ、オカモトコウキ、ハマ・オカモト、オカモトレイジ>、青柳拓次、VLADO DZIHAN、DJツネ、佐藤有紀、石川明宏、森内淳、信藤三雄、佐々木進 
配給: SPACE SHOWER FILMS

春江水暖~しゅんこうすいだん(2月11日公開)

『春江水暖~しゅんこうすいだん』より (C)2019 Factory Gate Films All Rights Reserved

 舞台は大河・富春江が流れる浙江省・杭州の富陽。『春江水暖~しゅんこうすいだん』は、再開発に揺れるこの街で生きるある市井の大家族の四季を描いた作品だ。山水画の傑作《富春山居図》にインスピレーションを得たという本作。その特徴は、絵巻を広げていくような横移動スクロールの超ロングテイクや壮大なロングショットだ。古典と革新が融合した、息を呑むような映像表現に注目。

 監督・脚本は現在32歳のグー・シャオガン。本作は初の長編で、デビュー作にして2019年カンヌ国際映画祭批評家週間のクロージング作品に選ばれた。三部作の第一作目とされ、すでに第二作目の制作開始が発表されている。

公開:2021年2月11日Bunkamuraル・シネマほか全国順次公開
監督・脚本 : グー・シャオガン
出演:チエン・ヨウファー、ワン・フォンジュエン
配給:ムヴィオラ

レンブラントは誰の手に(2月26日公開)

『レンブラントは誰の手に』 より (C)2019DiscoursFilm

  《夜警》などで知られる17世紀オランダ絵画の巨匠、レンブラント・ファン・レイン。その絵画をめぐる人々をとらえたドキュメンタリー映画が『レンブラントは誰の手に』だ。

 本作では、オランダの貴族の家系に生まれ、レンブラントが描いた貴重な肖像画のある家で育った若き画商ヤン・シックスが13万7000ユーロという安値でレンブラントの絵画を落札したことや、アムステルダム国立美術館は、ロスチャイルド家が所蔵していたふたつの肖像画(《Portrait of Marten Soolmans》《Portrait of Oopjen Coppit, Wife of Marten Soolmans》)を購入するため、ルーヴル美術館に共同購入を持ちかけたことなど、世間の注目を集めたニュースの裏側を知ることができる。

公開:2021年2月26日よりBunkamuraル・シネマほか全国順次公開
監督・脚本:ウケ・ホーヘンダイク
出演:ヤン・シックス、エリック・ド・ロスチャイルド男爵、ターコ・ディビッツ(アムステルダム国立美術館)、エルンスト・ファン・デ・ウェテリンク教授、バックルー公爵
配給:アンプラグド

SLEEP マックス・リヒターからの招待状(3月26日公開)

『SLEEP マックス・リヒターからの招待状』より (C)2018 Deutsche Grammophon GmbH, Berlin All Rights Reserved

 2018年7⽉のロサンゼルス。総合芸術施設であるグランド・パークで真夜中に行われた「眠り」をテーマにしたコンサートをとらえたドキュメンタリー映画が『SLEEP マックス・リヒターからの招待状』だ。

 マックス・リヒターは、クラシックとエレクトロニック・ミュージックを融合させて作られるポスト・クラシカルの旗⼿であると同時に映画やテレビのサントラも数多く⼿掛け、いま、映画⾳楽の世界においてもっとも重要なアーティストのひとりともいわれる⼈物。このコンサートは、観客が開演の真夜中から明け⽅まで、会場に並べられたベッドに横たわり、眠っている間に聞くためにつくられた8時間以上に及ぶマックス・リヒターの「SLEEP」ライブ演奏を聴くというもの。“眠り”をテーマとするまったく新しいスタイルのコンサート「SLEEP」の全貌とその裏側を、このコンサートを企画、そして「SLEEP」の作曲・演奏も⼿掛けた⾳楽家マックス・リヒターの素顔とともに追いかける。

公開:2021年3⽉26⽇新宿シネマカリテ、ヒューマントラストシネマ渋⾕、ヒューマントラストシネマ有楽町ほか全国公開
監督:ナタリー・ジョーンズ
出演:マックス・リヒター、ユリア・マール、(ソプラノ)グレース・デイヴィッドソン、(チェロ)エミリー・ブラウサ、クラリス・ジェンセン、(ヴィオラ)イザベル・ヘイゲン、(ヴァイオリン)ベン・ラッセル、アンドリュー・トール
配給:アット エンタテインメント

過去はいつも新しく、未来はつねに懐かしい 写真家 森山大道(4月30日公開)

『過去はいつも新しく、未来はつねに懐かしい 写真家 森山大道』より (C)『過去はいつも新しく、未来はつねに懐かしい』フィルムパートナーズ

 81歳となったいまなお精力的な活動を続ける写真家・森山大道。その姿を追ったドキュメンタリー映画『過去はいつも新しく、未来はつねに懐かしい 写真家 森山大道』が、新型コロナウイルスによる公開延期を経て、4月に公開される。

 本作は、1968年に出版され、幻の作品集として半ば伝説となっていたデビュー写真集『にっぽん劇場写真帖』の復刊プロジェクトに密着したドキュメンタリー映画。森山が新宿などの街中でスナップ写真を撮る貴重な姿が見られるのは本作の大きな特徴だ。また、造本家や編集者とのやり取りを通して、一冊の本が誕生する現場も克明にとらえられており、ブックデザインやエディトリアルに興味のある人にとっても楽しめるだろう。

2021年4月30日より新宿武蔵野館、渋谷ホワイトシネクイントほかにて全国順次公開
監督・撮影・編集:岩間玄
出演:森山大道、神林豊、町口覚ほか
制作・配給:テレビマンユニオン