2020.9.18

「KYOTOGRAPHIE 2020」から「ダブル・サイレンス」まで、4連休に見たい展覧会ベスト5

今週スタートした展覧会から、とくに注目したい5つをピックアップしてお届けする。予約方法や注意事項については、各館の公式ウェブサイトを参照してほしい。

マーク・マンダース 4つの黄色い縦のコンポジション 2017‒2019
Photo by EPW STUDIO Courtesy: Zeno X Gallery, Antwerp & Tanya Bonakdar Gallery, New York
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10人の写真家が京都市内14ヶ所で共演。「KYOTOGRAPHIE 2020」(京都市内14会場)

 2013年にスタートし、今年で8回目を迎える「KYOTOGRAPHIE」。新型コロナウイルスの影響で開催を延期した「KYOTOGRAPHIE 2020」が、9月19日にスタートする。

片山真理 25 days in tastumachi studio / 鈴木薬局 眼鏡部 #002 2015 (C) Mari Katayama

 今回のテーマ「VISION」は、目に見えるものだけでなく、想像して見るものも意味してい。片山真理やウィン・シャ、ピエール=エリィ・ド・ピブラック、オマー・ヴィクター・ディオプなどのアーティストによる10のメインプログラムが、嶋臺(しまだい)ギャラリーや誉田屋源兵衛 竹院の間、京都府庁旧本館、出町桝形商店街など京都市内14の会場で展開される。

 また、今年の写真祭にあわせて、新たな常設スペース「DELTA / KYOTOGRAPHIE Permanent Space」も誕生。ギャラリー、カフェ、ホテルなどを併設予定のこのスペースでは、写真祭の時期だけでなく、永続的に活動する場所として様々なプロジェクトが展開されていく。

会期:2020年9月19日〜10月18日
会場:京都市内各所

 

首都圏では12年ぶりの大規模個展。「宮島達男 クロニクル 1995ー2020」(千葉市美術館)

 LED(発光ダイオード)のデジタル・カウンターを使用した作品で知られ、現在「STARS展」(森美術館)にも参加している宮島達男。その首都圏では12年ぶりとなる大規模個展「宮島達男 クロニクル 1995ー2020」が、千葉市美術館で開催される。

宮島達男 Counter Skin on Faces 2019/2020 Photo by Siliang Ma Courtesy of Akio Nagasawa Gallery 

 1980年代から「それは変化し続ける」「それはあらゆるものと関係を結ぶ」「それは永遠に続く」という3つのコンセプトに基づいて制作してきた宮島。本展では、その重要な転換期にあたる95年を起点として、時間と空間に深く関わる表現の本質に迫る。LED作品、パフォーマンス、プロジェクトなどを通じて、宮島の四半世紀にわたる多様な活動を追う。

 また会場では、同館のコレクションから河原温、菅井汲、杉本博司、中西夏之、李禹煥らによる作品と宮島の作品がコラボレーション。他者との対話を通して特別な空間が生み出される。

会期:2020年9月19日〜12月13日
会場:千葉市美術館
住所:千葉市中央区中央3-10-8
電話番号:043-221-2311 
開館時間:10:00〜18:00(金土〜20:00) ※入場受付は閉館の30分前まで
休室日:10月5日、11月2日、12月7日 休館日:10月19日、11月16日
料金:一般 1200円 / 大学生 700円 / 小・中・高校生無料

 

原美術館で最後の展覧会。「光―呼吸 時をすくう5人」(原美術館)

 2021年1月での閉館を予定している原美術館が、その最後の展覧会である「光―呼吸 時をすくう5人」展をスタートさせる。

佐藤時啓 光-呼吸 2020 ピグメントプリント (C) Tokihiro Sato

 新型コロナウイルス感染症が世界中で猛威を振るうなか、日々のささやかな出来事や感情を記憶する間もなく2020年が過ぎ去ってしまう。本展は、こうした視界から外れるものに着目して心に留め置くことはできないか、という想いから企画されたもの。

 展覧会では、同館のコレクションから佐藤雅晴のアニメーションとリー・キットのインスタレーションに加え、今井智己、城戸保、佐藤時啓による写真などの作品が展示。彼らの作品を通し、意識されぬまま過ぎ去る時間や、見過ごされてしまいそうな光景を掬う・救うことで、2020年の出来事を心に刻む。

会期:2020年9月19日〜2021年1月11日
会場:原美術館
住所:東京都品川区北品川4-7-25
電話番号:03-3445-0651
開館時間:11:00〜17:00(予定、祝日を除く水曜は20:00まで) ※入館は閉館の30分前まで
休館日:月(ただし9月21日、11月23日、1月11日を除く)、9月23日、年末年始
料金:一般 1100円 / 大学・高校生 700円 / 小中学生 500円
※入館は日時指定の予約制。詳細は公式サイト参照。

 

コロナ時代に「希望に向けて歩んでいく」。「《夢路》DREAM ROAD」(ペロタン東京)

 1980年代後半からドローイング、彫刻作品、インスタレーション、写真、執筆、パフォーマンスに至るまで多彩な表現方法で創作活動を行ってきたフランスを代表するアーティスト、ジャン=ミシェル・オトニエル。その新作個展「《夢路》DREAM ROAD」が六本木・ペロタン東京で開催されている。

展示風景より、ジャン=ミシェル・オトニエル「Kiku」シリーズ

 本展では、日本を象徴する花のひとつ、菊の花にインスピレーションを得て制作した初公開のガラス立体作品シリーズ「Kiku」や、金箔を用いた絵画作品を展示。菊の花が持つ意味についてオトニエルはこう語る。「菊は長寿を願う花。このシリーズは6~7年前から構想してきたものですが、新型コロナのパンデミックが起きているいま発表することに、大きな意味を感じています」。

 また、展覧会名「夢路」には「ともに希望に向けて歩んでいこう」という前向きな思いが込められている。オトニエルが見出した菊の花の美しさと希望を、会場で見出してほしい。

会期:2020年9月16日〜10月24日
会場:ペロタン東京
住所:東京都港区六本木6-6-9 ピラミデビル1階
電話番号:03-6721-0687 
開館時間:12:00〜18:00 ※予約制
休館日:日月

 

美術館では世界初となるミヒャエル・ボレマンスとマーク・マンダースの2人展。「ダブル・サイレンス」(金沢21世紀美術館)

 ヨーロッパの美術史を素地としたユニークな表現で世界的な評価を得る、ミヒャエル・ボレマンスとマーク・マンダース。その世界初となる美術館での2人展「ダブル・サイレンス」が、金沢21世紀美術館で開催される。

左からマーク・マンダース《椅子の上の乾いた像》(2011-15)、ミヒャエル・ボレマンス《オートマト(I)》(2008) ※参考図版
Photo by Peter Cox Courtesy of Zeno X Gallery, Antwerp, Gallery Koyanagi, Tokyo, Tanya Bonakdar Gallery, New York/Los Angeles & David Zwirner

 1963年ベルギー生まれのボレマンスは、ベラスケスやマネなど伝統的な西洋絵画の技法とテーマに強い関心を寄せ、日常に潜む不穏やさや危うさを曖昧で矛盾に満ちた画題で表現。いっぽう、1968年オランダ生まれのマンダースは、「建物としてのセルフ・ポートレイト」をコンセプトに制作を行い、有機的に変化し続けるインスタレーションを通じてある瞬間に凍結されたような不朽性や普遍性など、見る者に静寂と不在を感じさせる。

 会場にはあわせて80点あまりの作品が集結。静寂や沈黙のなかで、ふたりが作品を通して語りかける物語を味わいたい。

会期:2020年9月19日~2021年2月28日
会場:金沢21世紀美術館 展示室7~12・14
住所:石川県金沢市広坂1-2-1
電話番号:076-220-2800
開館時間:10:00~18:00(金土〜20:00、1月2日・3日〜17:00) ※観覧券販売は閉場の30分前まで
休館日:月(ただし9月21日、11月23日、2021年1月11日は開場)、9月23日、11月24日、12月29日~2021年1月1日、12日 
料金:一般 1000円 / 大学生 600円 / 小学・中学・高校生 300円 ※日付指定予約制。詳細は公式ウェブサイトを参照