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2018.10.21

いくつ行ったことがある? 奈良美智の作品にいつでも会える国内の美術館をピックアップ

国内外、幅広い世代から支持されているアーティスト・奈良美智。その作品を鑑賞するべく、世界中から多くの人々が訪れている国内の美術館をピックアップ!

奈良美智 あおもり犬 2006 青森県立美術館 © Yoshitomo Nara
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青森県立美術館(青森県) 《あおもり犬》《Miss Forest / 森の子》

奈良美智 あおもり犬 2006 青森県立美術館 © Yoshitomo Nara

 青森県出身の奈良美智は、青森県立美術館でしか見られない大作を多く手がけている。そのひとつである《あおもり犬》(2006)は、市内でも屈指の人気スポットだ。また、敷地内にあり、奈良がデザインを手がけた「八角堂」のなかに展示されているのは白のブロンズ像《Miss Forest / 森の子》(2016)。同作は、高さ6メートルを超える野外彫刻であり、建築や自然と呼応する様子を楽しむことができる。

 同館では1998年より奈良作品の収蔵を始め、現在その数は170点を超えている。奈良作品を堪能できるコレクション展示室を目当てに、国内外から多くの来館者が訪れているという、そのラインナップは圧巻だ。

 なお同館は、棟方志功をはじめ奈良以外の青森県出身の作家のコレクションも充実。そのほか、シャガールのバレエ背景画《アレコ》(1942)といった貴重な作品を所蔵。広い展示室で、時間を忘れてじっくりと鑑賞したい。

丨青森県立美術館

住所:青森市安田字近野185
電話番号:017-783-3000 
開館時間:10月1日〜5月31日  9:30〜17:00、6月1日〜9月30日 9:00〜18:00 ※いずれも入館は閉館の30分前まで
休館日:第2・第4月(祝日の場合は翌日)、年末年始

 

十和田市現代美術館(青森県) 《夜露死苦ガール2012》

奈良美智 夜露死苦ガール2012 撮影=小山田邦哉 © Yoshitomo Nara

 白い壁や大きなガラス張りの廊下が印象的な美術館の建物と、草間彌生らの作品が並ぶ屋外展示が来館者を出迎える十和田市現代美術館。

 同館は、個々の展示室を「アートのための家」として独立させ、敷地内に建物を分散して配置し、それらをガラスの廊下がつなげている。そのなかで一際目立つ大きな建物の外壁に描かれているのが《夜露死苦ガール2012》だ。建物の壁に描かれた身長約9メートルの本作は、同館で開催された奈良の個展「青い森の ちいさな ちいさな おうち」(2012)の展示作品であり、その後恒久展示となった。

 そのほか、同館はロン・ミュエクの《スタンディング・ウーマン》(2008)、オノ・ヨーコの《念願の木》(1996〜2008)などの常設作品も人気を集めている。写真撮影が可能な作品もあるので、現地で確認してほしい。

丨十和田市現代美術館

住所:青森県十和田市西二番町10-9
電話番号:0176-20-1127
開館時間:9:00~17:00(入館は16:30まで)
休館日:月(月曜日が祝日の場合は、その翌日)、年末年始

 

N’s YARD(栃木県) 《Miss Forest》《My Drawing Room 2008, bedroom included》

 奈良美智 Miss Forest, 2017(detail)
© YOSHITOMO NARA, Photo by Mie Morimoto
※無断転載・転用を固く禁じます。

 栃木の森の中に静かに佇む「N’s YARD」は、奈良美智の制作現場すなわちアトリエのような場所だ。未発表の作品や、奈良が大切に集め創作活動を支え続けるレコードジャケット、オブジェ、そしてコレクション作品などを展示している。

 そんなN's YARD内で会える、白の野外彫刻《Miss Forest》。記事冒頭で紹介した青森県立美術館の《Miss Forest / 森の子》と同型・同素材でありながら、高さは約1メートルほど低いものだ。

 なお現在、《My Drawing Room 2008, bedroom included》が展示中。最新の作品展示情報はウェブサイトや本人の公式Twitter、Instagramで確認できるので、こちらもチェックを。

丨N’s YARD

住所:栃木県那須塩原市青木28-3
電話番号:0287-73-5711
開館時間:10:00-17:00 最終入場は閉館の30分前まで
休館日:火・水、12月中旬〜翌年3月中旬

 

原美術館(東京) 《My Drawing Room》

奈良美智 My Drawing Room 2004.8- 制作協力=graf © Yoshitomo Nara

 品川の閑静な住宅街に佇む、緑あふれる原美術館は1938年に開館。バウハウスに影響を受け、旧原邸を改装した現代美術館として知られている。同館では、50年代以降の巨匠から今日のアートシーンで活躍する若手作家まで、世界の優れた現代美術作品を幅広く収集をしている。

 《My Drawing Room》(2004〜)は、原美術館2階の奥にある奈良のインスタレーションであり、同美術館で開催された「奈良美智―From the Depth of My Drawer」(2004)と同時期に制作された作品。この場所で、奈良は個展準備の際に5日間続けて制作を行った。ワインの空瓶や、机上の描きかけのドローイング、色鉛筆、お気に入りのCDなどといったあらゆる滞在の痕跡が残されたままとなっており、アトリエをイメージした常設展示作品として公開され、人気を博している。

 鑑賞後は、イサム・ノグチやソル・ルウィットが手がけた屋外展示彫刻の見える中庭のカフェに立ち寄るのもおすすめだ。

丨原美術館

住所:東京都品川区北品川4-7-25
電話番号:03-3445-0651
開館時間:11:00~17:00 祝日を除く水曜は20:00まで(入館は閉館時刻の30分前まで)
休館日:月(祝日の場合は開館し翌平日休館)、展示替え期間、年末年始

 

軽井沢現代美術館(長野県) 《デコデールちゃん》

奈良美智 デコデールちゃん 1993 © Yoshitomo Nara

 東京・神保町の海画廊が運営している軽井沢現代美術館は、奈良美智、草間彌生、村上隆など、国内外で高い評価を得ている日本人アーティストの作品を多く収蔵する。

 軽井沢の自然の外光を取り入れたユニークな館内は、奥行50メートルのメイン展示室、2階の企画展示室、ギャラリーに分けられており、ゆっくり作品と向き合える空間になっている。

 同館では、奈良の木彫の《デコデールちゃん》(1993)を常設展示として毎年公開している。また現在、2階の企画展示室では、草間彌生が手がけた初の浮世絵版画をはじめ、最初期のシルクスクリーン3点を含む版画作品約20点を展示中(〜11月25日)。

丨軽井沢現代美術館

住所:長野県北佐久郡軽井沢町大字長倉2052-2
電話番号:0267-31-5141
開館時間:10:00〜17:00
休館日:火・水(GW及び、夏期は無休で開館・11月下旬~4月中旬は冬期休館)

 

金沢21世紀美術館(石川県) 《Dog-o-rama》 《Voyage of the Moon(Resting Moon)/ Voyage of the Moon》など

奈良美智 + graf Voyage of the Moon (Resting Moon) / Voyage of the Moon 2006
金沢21世紀美術館蔵 © Yoshitomo Nara + graf
撮影=中道淳/ナカサアンドパートナーズ 画像提供=金沢21世紀美術館

 番外編として、金沢21世紀美術館を紹介する。同美術館は、石川県金沢市にある円形・ガラス張りの美術館。同館のコレクションは草間彌生、横尾忠則、アンディ・ウォーホルをはじめとした、1980年以降に制作された作品が多くを占める。レアンドロ・エルリッヒ作の《スイミング・プール》(2004)をはじめとした体験型の作品が人気を博し、つねに多くの観光客で賑わっている。

 常設ではないが、06年に同館で開催された、奈良美智展「Moonlight Serenade - 月夜曲」の際に制作された作品が数点コレクションに加わった。

 そのほかのひとつ《Dog-o-rama》(2006)は、会期中に奈良自身が金沢での滞在制作を行いながら、金沢市内外の有志から集められた古布類を使って全長7メートルの巨大な犬のぬいぐるみが出来上がっていく制作過程を紹介するもの。そして、grafと協働し制作された《Voyage of the Moon(Resting Moon) / Voyage of the Moon》(2006)は、闇夜を照らす月が屋根の上で小休止しているという、小屋と彫刻作品が融合したインスタレーション作品だ。

 いずれも近々の展示時期は未定。同館公式ホームページをチェックしてほしい。

丨金沢21世紀美術館

住所:石川県金沢市広坂1-2-1
電話番号:076-220-2800
開館時間:10:00~18:00(金・土は20:00まで)
休館日:月(休日の場合は直後の平日)、年末年始