奈良美智と村上隆がタッグ! Kaikai Kiki Gallery取り扱いで過去30年を振り返るドローイング個展を開催へ

現代日本を代表するアーティスト・奈良美智が村上隆主宰のKaikai Kiki Galleryの取り扱い作家となることが発表された。2月9日からは過去30年間のドローイングにフォーカスした個展を開催する。

Nara's studio 2007  Photo by Yoshitomo Nara

 昨年、豊田市美術館で大規模個展「for better or worse」を開催し、那須塩原には自身のスペース「N's YARD」をオープンさせるなど、ますます多岐にわたる活動を見せるアーティスト・奈良美智。そんな奈良が、村上隆が主宰するギャラリー「Kaikai Kiki Gallery」の取り扱い作家となることが発表された。同ギャラリーでは「奈良がほかのコマーシャルギャラリーではなかなか実現しにくい、奈良自身の歩みを振り返り、作家としての核の部分を確かめる様な展示を行う予定」だという。

 村上は奈良を取り扱う(リプレゼントする)理由について、「アートのハードコアなファンはもちろんのこと、アートに馴染みの薄い人々にも広くファンを獲得しています。とくにアジアでの人気は絶大で、その影響力の大きさはオークションでのヒートアップにも顕著です」としながら次のようにコメントしている。

 「しかし、ここ数年は、そのヒートしすぎたマーケットの反応に嫌気を感じ、人前への露出を避け、自分の世界に引きこもるようなスタイルに変化してしまいました。引ひきこもっていた、と言っても、2017年11月には日本の中央に位置する保養地、那須塩原市に自身の作品や大切にコレクションする作品やレコードなどを展示するN's YARDをオープンし、独自のスタイルでの新しいコミュニケーションを模索し始めています。今回のKaikai Kiki Galleryでのリプレゼントによって、奈良美智さんのそのような複雑な想いをどのようにマーケットの中で具現化出来るのかが、テーマであると思っています。具体的に言えば、転売を前提とした業者への嫌悪からの迂回と、いま一度、本物のファンとの自然な交流を取り戻せるようにしてゆきたい。そして奈良さんの創造の羽を思いっきり伸ばせるようにしたい。そんな大志を抱いて、Kaikai Kikiギャラリーは奈良美智をレプレゼントし始めます」。

 ギャラリーではこの取り扱いスタートを記念し、2月9日から奈良の過去30年間にわたるドローイングにフォーカスした個展 「Drawings: 1988-2018 Last 30 Years」を開催する。

In Los Angeles 2008 Photo by Yoshitomo Nara

 奈良は本展について「自分とドローイング、その関係。自分がどんなふうにドローイングと付き合ってきたのかということ。学生だった頃から今までの30年間をここに俯瞰するように見てみようと思う」とコメント。「そのときの気分や思うこと、瞬間に浮かんだアイディアや、文字と共に描きとめてきたもの、ただただ鉛筆を持った手の運動という類のものもある。それはいろんな手法というか、ただただ息をするように、そのときそこにある鉛筆やボールペンで描かれている。美術学校で習うような表現方法とはちょっと、いや、かなり違う。そんな子供時代からの延長にある表現。言葉で上手く表現できなかった、いや、言葉よりも描いた方が思っていることを気持ちよく伝えられるはずだ、という独りよがりの確信に満ちて描かれているドローイングたち。それを30年というスパンで展示するのが今回の個展だ」。

 村上隆と奈良美智という、ともに世界的に活躍するアーティストでありながら旧知の仲でもある2人のタッグ。今後、アートシーンに大きな影響を与えるのは必至だ。

編集部

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