ゴッホ展──響きあう魂 ヘレーネとフィンセント

「ゴッホ展──響きあう魂 ヘレーネとフィンセント」が東京都美術館で開催。ヘレーネ・クレラー=ミュラーが築いた類まれなコレクションを紹介する。

　フィンセント・ファン・ゴッホ（1853〜1890）の芸術に魅了され、ゴッホ作品の世界で最大の個人収集家となったヘレーネ・クレラー=ミュラー（1869〜1939）。ゴッホがまだ評価の途上にあった1908年からおよそ20年で、鉄鉱業と海運業で財をなした夫アントンとともに90点を超える油彩画と約180点の素描・版画を収集した。

　早くから美術館の設立を考えたヘレーネは、ゴッホの初期〜晩年までの画業をたどれるよう、体系的かつ質の高い作品をコレクションに加えていった。ゴッホの芸術に深い精神性を見出し、その感動を多くの人々とわかち合うべく、生涯にわたり美術館設立に情熱を注いだ。

　本展では、オランダのクレラー＝ミュラー美術館から、糸杉の傑作《夜のプロヴァンスの田舎道》や《種まく人》をはじめ、選りすぐりの絵画28点と素描・版画20点が来日。また、ミレー、ルノワール、スーラ、ルドン、モンドリアンらの絵画20点もあわせて展示し、ゴッホの作品を軸に近代絵画の展開を振り返る。

　さらに本展では、ヘレーネのコレクションに加え、ゴッホの没後に弟テオと妻ヨー、そしてその息子フィンセント・ウィレムへと引き継がれたゴッホ家のコレクションから、《黄色い家（通り）》を含む4点の絵画も特別に出品。20世紀初頭からゴッホの人気と評価が飛躍的に高まっていく背景にも注目する。