EXHIBITIONS

京都市京セラ美術館開館1周年記念展

上村松園

上村松園 序の舞 1936 東京藝術大学蔵 重要文化財 後期展示

上村松園 焰 1918 東京国立博物館蔵 前期展示

上村松園 母子 1934 東京国立近代美術館蔵 重要文化財 前期展示

上村松園 人生の花 1899 京都市美術館蔵 通期展示

上村松園 初夏の夕 1949  京都市美術館蔵 通期展示

上村松園 清少納言 1917-18頃 個人蔵 通期展示

提供=松伯美術館

 京都市京セラ美術館は開館1周年記念展として、近代の京都画壇を代表する日本画家のひとり・上村松園(1875〜1949)の展覧会を開催する。

 京都市に生まれ、京都府画学校で鈴木松年(すずき・しょうねん)に学んだ上村松園。師の了解を得て幸野楳嶺(こうの・ばいれい)に入門し、その没後は同門の竹内栖鳳に師事した。第3回内国勧業博覧会で一等褒状を得るなど早くから頭角を現し、文展開設以降、官展で活躍。絵画の伝統を踏まえたうえに、女性画家の独自の視点で追求する女性像に孤高の境地を打ち立てた。1948年に女性で初めて文化勲章を受章した。

 上村松園の展覧会は、74年に同館で開催した「生誕100年記念 上村松園展」から約50年ぶり。本展では、《序の舞》(東京藝術大学蔵、1936)と《母子》(東京国立近代美術館蔵、1934)の重要文化財に指定された作品2点をはじめ、長らく行方不明で本邦初公開となる名作《清少納言》(1917〜18頃、個人蔵)など、全国の美術館・個人所蔵家の協力を得て、最初期から絶筆に至るまでの代表的な作品100点余りが集結する。

 なかでも前期・後期で入れ替えとなる、《焰》(東京国立博物館蔵、1918)と重要文化財《序の舞》(東京藝術大学蔵、1936)は見どころの2作品。《焰》(前期展示)は、謡曲『葵上』を取材し、光源氏の正妻である葵上に激しく嫉妬するあまり生霊になってしまった六条御息所を描いたもので、松園作品でもとくに女性の内面性がもっとも強烈に表されている。いっぽう《序の舞》(後期展示)は、現代女性を描いた数少ない作品のひとつであり、能楽の仕舞(謡によって舞われる舞)のなかでもごく静かで上品な舞である「序の舞」を題材としている。

 これらに加え、木村伊兵衛の写真作品《上村松園》などを回顧展としては初出品。近代の京都画壇が生んだ不世出の画家・上村松園の全貌を、京都で展覧する(※会期中、展示替えあり)。