EXHIBITIONS

コレクション展 2020-4:危機の中の芸術家たち

2020.11.28 - 2021.02.23

小坂圭二 世界の破れを担うキリスト 1969

今純三 大震災風景(バラック小屋)(1923)

 地球規模での気候変動や新型コロナウイルス感染症の世界的な拡大、「Black Lives Matter」運動など、2020年は人の生存や社会における自由の危機について様々に考えさせられる年であった。

 青森県立美術館の今年最後のコレクション展では、「危機の中の芸術家たち」をテーマに開催。2020年で没後30年を迎えた芸術家・工藤哲巳の作品群を中心として、澤田教一によるベトナム戦争下で撮影された写真や、今和次郎・純三兄弟による関東大震災後の公共建築や劇場に関する仕事などを紹介する。

 1960年代に「反芸術」の旗手として名を馳せた工藤哲巳。渡仏後は「社会評論の模型」とも呼ばれる作品制作によって、ヨーロッパ中心主義を鋭く批判した。工藤が生涯で模索した人間と技術と自然とのあいだにおける新しい協働体制は、今日の世界を取り巻く様々な危機の先を見据えるうえで、いまもっとも顧みるべきアーティストのひとりとも言えるだろう。

 本展は全体を通して、芸術家たちの想像力や批判精神を手がかりに、私たちが「危機」を基点としてこれからの世界を生き延び、つくり直すための感性を養う展覧会として開催される。

 また本展では、同時期開催の企画展「阿部合成展」に関連して、弟子にあたる小坂圭二や成田亨らの作品も展示する。