ベトナム戦争を写した澤田教一の写真展から「アメリカの戦争」を考える

夭逝の戦場カメラマン、澤田教一の写真展「故郷と戦場」が、IZU PHOTO MUSEUMで開催される。会期は9月9日〜12月25日。

澤田教一 安全への逃避(「ビンディン省ロクチュアン」より) 1965 © Sawada Kyoichi / Getty Images

 1936年に青森市に生まれた澤田教一。米軍三沢基地内のカメラ店勤務をきっかけに写真に熱中した澤田は65年、UPI通信社サイゴン支局のカメラマンとしてベトナムへ赴いた。ベトナム戦争の最前線で撮影した《安全への逃避》は、ピューリッツァー賞を受賞、澤田の代表作となった。70年には、アメリカ軍によるカンボジア侵攻に伴い、自身もカンボジアへと向かう。この地で撮影された写真は、死後ロバート・キャパ賞を受賞した。

1966

 本展では、未発表の写真や電送写真原稿など約300点を、青森、ベトナム、カンボジアの3つの撮影地に分けて紹介。最高傑作として名高い、テト攻勢攻防戦のシリーズを展示するほか、バラバラの状態で保管されていたネガを連続して見せることで、戦場における撮影方法を検証するという試みも行っている。

澤田教一 米軍三沢基地内 1955〜61
澤田教一 ダナンの南16km 1967

 故郷と戦場、そこに交差する生と死をとらえ続けた澤田は、34歳にして銃弾に倒れた。一人の戦場カメラマンが伝えようとしたベトナム戦争に迫る本展は、「アメリカの戦争」について考える良い機会となるだろう。

編集部

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