EXHIBITIONS

名和晃平「Oracle」

2020.10.23 - 2021.01.31

名和晃平 Trans-Sacred Deer(g/p_cloud) 2020 mixed media h1320 w1350 d435mm NARA TSUTAYA BOOKS, Nara / Japan Photo by Nobutada OMOTE|Sandwich

名和晃平 Lift 2018 ROHM Theatre Kyoto, Kyoto / Japan Photo by Yoshikazu Inoue

 彫刻家・名和晃平の個展が東京・表参道のGYRE GALLERYで開催される。

 名和晃は1975年生まれ。2003年京都市立芸術大学大学院美術研究科博士課程彫刻専攻修了。09年、京都・伏見に創作のためのプラットフォーム「Sandwich」を創設し、京都を拠点に活動を続けている。
 
 名和は、感覚に接続するインターフェイスとして、彫刻の「表皮」に着目し、セル(細胞・粒)という概念を機軸として、02年に情報化時代を象徴する「PixCell」を発表。生命と宇宙、感性とテクノロジーの関係をテーマに、重力で描くペインティング「Direction」やシリコーンオイルが空間に降り注ぐ「Force」、液面に現れる泡とグリッドの「Biomatrix」、そして泡そのものが巨大なボリュームに成長する「Foam」など、彫刻の定義を柔軟に解釈し、鑑賞者に素材の物性が開かれてくるような知覚体験を生み出してきた。近年では、アートパビリオン「洸庭」など建築のプロジェクトも手がけている。

 本展では、近年名和が取り組む、京都の伝統工芸復興プロジェクトから生まれた彫刻作品をはじめ、インスタレーション、ペインティングなどの新作を発表。鎌倉時代につくられた「春日神鹿舎利厨子(かすがしんろくしゃりずし)」へのオマージュとして、木彫漆箔仕上げの《Trans-Sacred Deer(g/p_cloud_agyo)》(通称:雲鹿)や、海外への渡航が難しくなった今年、スタジオで過ごす時間が増えたなかで継続的に行う実験的な試みから、複数のメディウムや塗料・オイル・油絵具などを混合し、複雑な物質性とテクスチャを生み出すペインティング、そして霧やUVレーザーを用いた作品が展示される。

 さらに、ピアニストの中野公揮のコンサート(2018)を飾った彫刻作品《Silhouette》が、ギャラリー吹き抜けのGYREアトリウムに出現。また、本展のオープンと同時期に催される明治神宮鎮座百年大祭に合わせ、明治神宮ミュージアムの前に《White Deer(Meiji Jingu》、本殿手前の南神門には雲鹿と同じ木彫漆箔仕上げの鳳凰《Ho / Oh》が設置される。