EXHIBITIONS

開館10周年・リニューアルオープン記念

森本草介展

2020.08.01 - 11.16

森本草介 午後のくつろぎ 2008 ホキ美術館蔵

森本草介 横になるポーズ 1998 ホキ美術館蔵

森本草介 初夏の頃 2005 ホキ美術館蔵

森本草介 田園 2001 ホキ美術館蔵

 ホキ美術館が再オープン後初の展覧会を開催。開館10周年の記念ともなる本展では、コレクションの核である洋画家・森本草介の作品が展示される。

 森本は1937年生まれ。64年東京藝術大学大学院美術学部油画科専攻科修了。国画会展サントリー賞(1968)などを受賞。69年の十騎会結成に参加。2015年に逝去するまで、婦人像を中心に、風景画や静物画を描いた。

 婦人像は背中から描くことも多かった森本。生前、モデルの人物像を想像する楽しさを残したいと語った。森本が絵に描いた刺繍や編み物の様子や、コーヒーカップを持つ女性の姿は、つねに静かで穏やかな時の流れを感じさせる。

 いっぽう風景画の多くは、フランスの地方の水辺の風景を題材に制作。生前は毎年のように2週間ほど取材旅行に出かけ、アキテーヌやロット、モレーなどの美しい風景画を描いた。橋や川などの雄大な風景をとらえようと横に長くなった作品も特徴だ。

 そして静物画では自宅の庭で育てた牡丹やパンジーなどの花を多く描いたほか、《果物たちの宴》と題した作品など、穏やかな愛と歓びに満ちた絵画を残した。

 ホキ美術館は、森本の1枚の作品と創設者・保木将夫との出会いから始まった。同館のコレクション第1号《横になるポーズ》が収められたのは1998年のこと。この作品は購入時にすでに全国を巡回する展覧会への出品が決まっており、手元に届いたのは巡回を終えた半年後だったと言う。こうしてコレクションが始まり、2010年のホキ美術館グランドオープン時には森本作品のコレクションは30点を越えるまでとなった。

 本展は、開館時の原点に還り、ホキ美術館コレクション第1号の《横になるポーズ》、森本が東日本大震災時に完成させた《未来》(2011)をはじめとする婦人像21点、最後のコレクションとなった《アリエー川の流れ》(2013)を含む、フランスの地方を中心に描いた風景画10点、加えて《果物たちの宴》(2001)など静物画3点の計34点が一堂に会す。セピアトーンに包まれ「生きる喜び」をテーマに描き続けた森本の、「生の讃歌」とも言える作品の数々を堪能できる貴重な機会となる。

 また、40歳以下の新人写実画家を対象に主催してきた「ホキ美術館大賞」の第3回受賞作品展が同時開催される。

※本展は日時指定の事前予約制。来館前に美術館のウェブサイトまたは電話にて要申込み。