EXHIBITIONS
オリエンタル・ディスクール
東アジアにゆかりのあるアーティストによる展覧会が開催。ヨシミ・リー、アリサ・バーガー、ユミソン+イシャイ・ガルバッシュの3組が参加する。
リーはフランス生まれ。写真の専門教育を受けた後、写真に留まらず、映像やインスタレーション、パフォーマンスを行うアーティストとして活動。韓国籍の両親をルーツに持ち、両親から日本語教育を受けた日本語話者でもあるリーは、現在ほとんどがフランスにルーツを持つ人々が暮らすカナダのケベック州に在住している。自身の人生経験として韓国からの文化的影響は少なく、しかしアジア系のフランス人として、親から子へ続く民族の記憶の伝承についての考察を重ねている。
バーガーは、ドイツ在住の映像、パフォーマンス、インスタレーションのアーティスト。ウラジオストクに住む高麗人の母とユダヤ人の父の子としてバーガーは、ロシアで生まれた。朝鮮から中国側へ渡った人々は朝鮮族(ジョソンジョック)、ロシア側へ渡った人々は高麗人(コリョサラン)と名づけられた。長い歴史のなかで朝鮮民族は多くの戦争を経験し、近隣のロシアや中国、日本などへ国を越えようとした。バーガーの祖母は日韓併合で投獄された曾祖父とともにウラジオストクへ脱北した。バーガーはこうした歴史を踏まえ、母親と同じ境遇にある移民たちをインターネット上で見つけ、その画像や逸話を織り交ぜた映像作品で、自身の先祖の写真や記憶をひも解くことを試みている。
ユミソンとガルバッシュ(ユミソン+イシャイ・ガルバッシュ)は、それぞれ東京とベルリンで活動し、不定期にアーティストユニットを組んで、トラウマの継承や人々の記憶がどのように可視化されるのかを探る作品を発表している。
ユミソンは在日韓国人のコンセプチュアル・アーティスト。土地が持つ記憶を、人々の記憶や想像力というストロークで描き出すことを目的としている。自身の父親が、南北朝鮮戦争後の韓国軍の民間人虐殺に偶然立会い、生き延びた際の話を抽象的な物語として紡ぎ、父の目線で語る作品では、民族が持つ共通の記憶と個人の傷との折り合いに踏み込む。
ガルバッシュはニューヨークで写真の専門教育を受けたアーティスト。西アジアのイスラエルに男性として生まれ、現在は女性としてドイツに在住し、ボーダーやトラウマをテーマに作品制作を行う。イスラエルで徴兵を経験したこともあるガルバッシュは、海外を初めて訪れたとき、周囲の国がイスラエルは脅威を与える国だと認識していることを知った。そこでガルバッシュは、イスラエルが他の国と変わらない日常を送っていることを示すプロジェクトに取り組んでいる。
参加アーティストたちに共通するキーワードは「移民」。本展では、「オリエンタル・ディスクール(東洋の言説)」として、移動や生活、土地の記憶から影響を受けて制作された3組の作品を通じ、私たちが生きる社会やアイデンティティの形成の仕方を見つめ直すことを試みる。
リーはフランス生まれ。写真の専門教育を受けた後、写真に留まらず、映像やインスタレーション、パフォーマンスを行うアーティストとして活動。韓国籍の両親をルーツに持ち、両親から日本語教育を受けた日本語話者でもあるリーは、現在ほとんどがフランスにルーツを持つ人々が暮らすカナダのケベック州に在住している。自身の人生経験として韓国からの文化的影響は少なく、しかしアジア系のフランス人として、親から子へ続く民族の記憶の伝承についての考察を重ねている。
バーガーは、ドイツ在住の映像、パフォーマンス、インスタレーションのアーティスト。ウラジオストクに住む高麗人の母とユダヤ人の父の子としてバーガーは、ロシアで生まれた。朝鮮から中国側へ渡った人々は朝鮮族(ジョソンジョック)、ロシア側へ渡った人々は高麗人(コリョサラン)と名づけられた。長い歴史のなかで朝鮮民族は多くの戦争を経験し、近隣のロシアや中国、日本などへ国を越えようとした。バーガーの祖母は日韓併合で投獄された曾祖父とともにウラジオストクへ脱北した。バーガーはこうした歴史を踏まえ、母親と同じ境遇にある移民たちをインターネット上で見つけ、その画像や逸話を織り交ぜた映像作品で、自身の先祖の写真や記憶をひも解くことを試みている。
ユミソンとガルバッシュ(ユミソン+イシャイ・ガルバッシュ)は、それぞれ東京とベルリンで活動し、不定期にアーティストユニットを組んで、トラウマの継承や人々の記憶がどのように可視化されるのかを探る作品を発表している。
ユミソンは在日韓国人のコンセプチュアル・アーティスト。土地が持つ記憶を、人々の記憶や想像力というストロークで描き出すことを目的としている。自身の父親が、南北朝鮮戦争後の韓国軍の民間人虐殺に偶然立会い、生き延びた際の話を抽象的な物語として紡ぎ、父の目線で語る作品では、民族が持つ共通の記憶と個人の傷との折り合いに踏み込む。
ガルバッシュはニューヨークで写真の専門教育を受けたアーティスト。西アジアのイスラエルに男性として生まれ、現在は女性としてドイツに在住し、ボーダーやトラウマをテーマに作品制作を行う。イスラエルで徴兵を経験したこともあるガルバッシュは、海外を初めて訪れたとき、周囲の国がイスラエルは脅威を与える国だと認識していることを知った。そこでガルバッシュは、イスラエルが他の国と変わらない日常を送っていることを示すプロジェクトに取り組んでいる。
参加アーティストたちに共通するキーワードは「移民」。本展では、「オリエンタル・ディスクール(東洋の言説)」として、移動や生活、土地の記憶から影響を受けて制作された3組の作品を通じ、私たちが生きる社会やアイデンティティの形成の仕方を見つめ直すことを試みる。