EXHIBITIONS

都美セレクション グループ展 2019

彼女たちは叫ぶ、ささやく-ヴァルネラブルな集合体が世界を変える

岸かおる spare-part 2013

松下誠子 革命前夜 2018 Photo by RED AND BLUE GALLEY

イトー・ターリ 放射能に色がついていないからいいのかもしれない…….と深い溜息…..をつく 2011 撮影=河原光咲

都美セレクション グループ展」は、新しい発想によるアートのつくり手の支援を目的として、2012年の東京都美術館リニューアルオープン時に始まった。今年は、応募の中から厳正な審査を経て選ばれた「過去・現在・未来を考える」「エゴイメ・コレクティヴ」「ヘテロトピア」の3グループが展覧会を開催。それぞれのグループが熱量を込めた展示では、絵画・写真・彫刻・インスタレーションなど多様なジャンルの作品が紹介される。

「エゴイメ・コレクティヴ」は、ジェンダーやセクシュアリティ、民族間の格差が拡大する社会を、芸術を介した柔軟な発想で少しずつ変えるべく集まった、一条美由紀、イトー・ターリ、碓井ゆい、岸かおる、ひらいゆう、松下誠子 、綿引展子、カリン・ピサリコヴァのアーティストと小勝禮子(キュレーター)の9名によって結成。グループ名の「エゴイメ・コレクティヴ(egó eímai collective)」はギリシア語で「わたしだよ。I am…」を意味し、「一人ひとりが時代の一員であり、その集合体は社会全体を動かすことができる」というメッセージを含んでいる。

 本展「彼女たちは叫ぶ、ささやく-ヴァルネラブルな集合体が世界を変える」は、「ジェンダー・マイノリティ・女性」に対する共通意識を持った作家、キュレーターと鑑賞者が対話し、偏見や固定観念を解く場となることを目指す。

 会期中には、社会が抱えた事柄に「沈黙しない」フィールドをつくるイトー・ターリのパフォーマンスアート「37兆個が眠りに就く前に」、「あなたにとって安心防衛毛布とは何か」という問いかけによって個人の脆さと「いま」に触れる、松下誠子のパフォーマンスとインタビュー「セキュリティ・ブランケット」を実施。クロージング・トークでは「アートとジェンダーをめぐる対話」をテーマに、エゴイメ・コレクティヴのメンバー数名とゲスト・スピーカーが、ジェンダーとアートをめぐる意見を交わし合う。