EXHIBITIONS

佐藤浩一「第三風景」

「第12回shiseido art egg 佐藤浩一展」(資生堂ギャラリー、2018)での展示風景 撮影=加藤健

「第12回shiseido art egg 佐藤浩一展」(資生堂ギャラリー、2018)での展示風景 撮影=加藤健

佐藤浩一 Breeding Institution Ⅱ(部分) 2018 © SATO Koichi

佐藤浩一 Ficus Brutalia(部分) 2018 © SATO Koichi

 金沢21世紀美術館が、視覚のみならず、非視覚的な感覚、聴覚・嗅覚をも揺さぶる新たな表現を取り上げ、美術館活動の次なる可能性を探求する展覧会を開催。今回は、人間と植物の境界を静かに見つめる注目の若手アーティスト、佐藤浩一を迎える。

 佐藤は1990年東京都生まれ、2019年東京藝術大学大学院美術研究科修士課程修了。主な受賞に、第12回資生堂art egg入賞(2018)、東京藝術大学 ARTの力賞(2019)、東京藝術大学 杜賞(2019)など。人類学や植物学への関心から、「わたし」と「わたしならざるもの」の間を揺れ動く存在の可能性を考察し、映像やインスタレーション、また、音や香りといった非視覚的なメディウムをも複合的に組み合わせた作品を発表している。

 本展のタイトル「第三風景」は、風景の進化を自然のみに委ねた空間を指し示すフランスの代表的な庭師ジル・クレマンが提唱した概念から取ったもの。「第三風景」は、都市の空き地や農村の放棄地・国境地帯など、人間が顧みない、もしくは抑圧している場所を、あえて生物多様性を受け入れられる特権的な場として積極的に評価することを意味している。

 本展はこの象徴的な言葉を起点に、イチジクの生殖に着目した「Mutant Variations」シリーズと、人工湖をテーマとした新作を含む、佐藤の現在地を俯瞰する。