EXHIBITIONS

花月啓祐「となりをみつける」

2026.06.05 - 07.04

花月啓祐《一筆のとなり》

 LOKO GALLERYで、花月啓祐の個展「となりをみつける」が開催される。

 花月の制作は、キャンバスの構築という基礎的な行為から始まる。支持体となる麻布は、紫根、苅安、蘇芳といった草木由来の染料によって染色。作家はそれらの原料から幾つもの工程を経て色を抽出し、複数の色調へと展開する。

 染められた麻布は、縦糸と横糸が均質に整うよう自作の木枠に張り込まれ、その上に膠を用いて極薄の土佐和紙が貼りかさねられる。麻布の糸と糸のあいだにある「隙間」は、和紙を介してなお画面にとどまる。花月はその「あいだ」に、あたかも新たな糸を織り込むかのように、色鉛筆による細い線を縦横に描き入れる。

 本展に際し、花月は以下のステートメントを発表している。

「『となり』という言葉から、あなたは何を想像するだろう。辞書には『並んで続いているもののうち、最も近くにあること』とある。
だがその関係は、たんなる位置にとどまらず、内と外、時間の前後、素材や出来事の連なりとしても現れる。

 たとえば、僕とあなた。部屋と光。絵画と壁。目を向けるだけで、あらゆるものは関わり合い、『となり』として広がっていく。それらは時間とともに変化し、制作の過程や素材、身の周りの事象までも連続していく。わずかに視点をずらすだけで、立ち現れる関係は大きく変わる。

 僕もまた、多くの『となり』によってかたちづくられている。人との出会い、土地の記憶、学んだこと、好きなもの、苦手なこと。それらがかさなり、現在の自分がある。

 自作《一筆のとなり》における『一筆』とは、たんなる描線ではない。木枠の制作、布張り、和紙の貼付、光の調整に至るまでの、一つひとつの行為である。その一筆のとなりには、色と色、素材と支持体、絵画と光、そして空気や温度が並び続けている。『となり』を見つめることは、関係を観察することだ。その関係を美的に捉え直すとき、日常の中に潜むわずかな変化や詩情が立ち上がる。

 あなた自身の『となり』には、何があるだろう」。