EXHIBITIONS

マンゴ・トムソン「Background Materials」

2025.11.08 - 12.20

Mungo Thomson Big American Apples 2025 lenticular print in artist’s frame 100.8 × 77.9 × 5.1 cm Photos by Jeff Mclane

 MAKI 天王洲で、マンゴ・トムソンによる個展「Background Materials」が開催されている。

 マンゴ・トムソンは1969年カルフォルニア州ウッドランド生まれ。現在ロサンゼルスを拠点に活動し、映像や音、彫刻、インスタレーションなどを通してコンセプチュアルな作品を制作している。雑誌、広告、壁掛けカレンダー、宅配便のダンボール箱などの印刷物やアーカイブ資料を扱いながら制作を行っている。

 本展は、伊勢丹新宿店での個展「Walking Pictures」およびファッションブランド・sacaiとのコラボレーションと同時期に開催。トムソンが映像、音、彫刻、写真など多様なメディウムによって文化的な記号やアナログな素材を扱う点に注目する。

 今回の展示の中核となる新作では、映像シリーズ「Time Life」の制作に使用されてきた書籍のページをつなぎ合わせた壁紙のインスタレーションを展示。「Time Life」シリーズはハウツー本、百科事典、製作マニュアルなどを素材とする映像プロジェクトであり、本展の壁紙にはロダンの画集、フィットネスガイド、生け花の教本、ワインやスピリッツの事典、ろうそくのカタログなど多様な資料が使用されている。

 シリーズ最新作「Volume 17. Survival Manual」は世界初公開となり、作家の息子エミット・トムソン=トライブが所有する柔術の指南書に掲載された一試合を映像化。サウンドトラックには、エミット自身のパーカッション演奏が用いられている。

 さらに、新作のレンチキュラー・プリント「Walking Pictures」シリーズも紹介される。複数のイメージをひとつの作品に埋め込む光学的写真技術を用いたものであり、リンゴの品種、カクテルのつくり方、運動、陶芸、ロダンの彫刻、生け花の手順、ろうそくが燃え尽きる過程を題材とする。

 加えて、「TIMEミラー」シリーズを複数点展示し、紙にビニールと反射マイラーフィルムを用いたTIMEミラーの習作を初公開している。