NAZE「KAWARU MONO KAWARANAI MONO」

　アニエスベー ギャラリー ブティックで、NAZE（ナゼ）による個展「KAWARU MONO KAWARANAI MONO」が開催されている。

　NAZEは、グラフィティカルチャーをベースに、触覚的な筆致で描かれるドローイング、スプレーやコラージュを用いたペインティングや、廃棄物を使ったオブジェ、テキスタイルワークなどの作品を制作。また、アーティストユニット・contact Gonzoのメンバーとしても活動している。

　NAZEは、廃材をただのゴミとしてではなく、創造を生み出す媒介物として見ている。そこには、素材の持つ使い道や美しさといった既成の価値基準を一度手放し、それらを自由に再定義しようとする姿勢が表れている。NAZEの実践は、大量消費社会への表層的な批判を超えて、人々が「もの」と出会うときの眼差しそのものを問い直し、価値判断が介在する以前の、無垢でしなやかな関係性を取り戻そうとする。効率や合理性が支配する現代において、即興的で遊び心に満ちたNAZEの制作アプローチは、「創造とは何か」という問いを浮かび上がらせ、新たな可能性を開いていく。

　本展では、展示設営期間中にNAZEがギャラリーに滞在し、現場で制作を行いながら作品を完成させた。会期中も不定期に来場し、空間に手を加えることで、展示の風景が少しずつ変化していく予定だ。また、同廊からは、用途を終えた洋服の見本残布が素材として提供され、それらも作品に取り入れられる。