昨年NFTアート展を開催し、話題を呼んだ東京・田町にあるホテル・プルマン東京田町。同ホテルが、「止まった時間が動き出す」をテーマにしたサステナブルアート展を2月1日〜15日の会期で開催する。
本展は、動かなくなった時計や不要となった時計やパーツを回収し、新たなアート作品へと昇華する活動を行っているアート団体「re:time」とコラボレーションしたもの。re:timeを構成したのは、ファッションウォッチをはじめ、アクセサリー・ジュエリーなどのブランドを国内で展開している株式会社ビヨンクール、アート制作を通じて障がい者支援を継続する社会貢献型事業を行うパラリンアート、廃棄されるはずだったものをアートにすることで新しい価値を創造するエコアートの3団体だ。
ビヨンクール代表取締役社長の荒井雄志は、1月18日に行われたメディアイベントでこのプロジェクトの背景について次のように説明している。「時計の輸入の代理店である弊社では、年間何百万本の時計を国内で流通させると、どうしても大量の時計の廃材が生まれてしまう。時計の文字盤やケース、インデックス、ベルトなどの廃材をどう廃棄するかは、弊社にとってひとつの課題だった。環境に対する取り組みが当たり前になってきた時代で、我々は時代に取り残されたような感覚もあった。今回のプロジェクトでそういった廃材を使うことによって、新しいアートや価値が生まれ、こうした循環のなかに弊社も一部として入れることを非常に誇りに思う」。
今回の展覧会では、◯hiromi、中田晋一、鈴木久美子、浅野春香、カミジョウミカ、のまげなどのアーティストの作品が展示。とくに注目したいのは、パラリンアートの協力によって出品された障がい者アーティストによる数々の作品だ。
登録した障がい者アーティストの作品を企業・団体に紹介し、作品展示やポスターなどに使用されることによって利益の50パーセントをアーティストに還元するという活動を行っているパラリンアート。現在は700名以上の障がい者アーティストが登録されており、全国約5000の関連学校や施設と提携しているという。
パラリンアート代表理事(創業者理事)である松永昭弘は、「今回、時計の廃材と障がい者支援が重なった取り組みに非常に共鳴した」としつつ、次のように述べている。
「アートは消費財ではないので、エコという概念では非常にいいと思う。また、障がい者アーティストが廃材を使ってアートを作成して、その報酬が還元されるというスキームができたのは、本当に素晴らしいことだ。今後は、こういったアーティストがつくった作品を提携施設にご紹介できたら」。
また、プルマン東京田町は昨年、廃棄予定のワインをアップサイクルしたアルコール0パーセントのモクテル「0%サングリア」を販売開始。今回の展覧会では、ホテルのロビーラウンジ・JUNCTIONでドリンクを注文した来場者に、「0%サングリア」を無料で提供するほか、期間中に先着100名には時計の廃材を再利用し、生まれ変わったアクリルキーホルダーもプレゼントする。
エコアート代表である綾海は、「今回、エコアートから参加している作家たちは、元々廃材専門の作家ではない。私たちは、たくさん廃材があるから、作品をつくっているわけではないし、ゴミを減らす活動でもない。アーティスト表現のひとつとして、時計を使っているというかたちだ」と強調している。
「それが自然と社会との会話を促すものになっているのではないか。これから、地上資源を使うのが当たり前になってくるので、こういう展覧会、当たり前をつくっていくような取り組みができるのはとても嬉しく思う」。