トム・フルーインが廃材で見せる「給水塔」。別府で半恒久設置

混浴温泉世界実行委員会がが昨年スタートさせたアートプロジェクト「Alternative-State」。その新作が披露された。

トム・フルーインの《Watertower 10:Beppu City, 2023》

 大分県別府市を中心に、現代芸術フェスティバル「混浴温泉世界」(2009〜2015)や「in BEPPU」(2016~2021) などの芸術文化振興事業を行ってきた混浴温泉世界実行委員会が昨年スタートさせたアートプロジェクト「Alternative-State」。その新作が大分県別府市の北浜公園で披露された。

 「Alternative-State」は、「廣川玉枝 in BEPPU」もって休止となった「in BEPPU」に続くものとして、22年度10月よりスタートしたプロジェクト。「世界を異なる形で再生させる旅の入り口」をコンセプトに、将来が期待される若手から国際的な巨匠まで1組のアーティストを半年ごとに招聘し、4年間で8つの作品を制作する予定だ。サルキスとマイケル・リンの作品がすでに設置されている。

 そしてその3作目となったのが、アメリカを拠点とするトム・フルーインの《Watertower 10:Beppu City, 2023》だ。「Watertower」はこれまでニューヨークをはじめ米国各地の公共空間や屋上に設置されているシリーズ作品で、日本ではこれが初となる。

トム・フルーインの《Watertower 10:Beppu City, 2023》

 本作はその名の通り「給水塔」をモチーフにしたもので、素材には別府で集められた廃材のアクリルなどを使用。縦のラインは日本の竹を、丸のモチーフは別府の炭酸泉をイメージしたという。フルーインは今回の制作にあたり、次のようなメッセージを寄せている。

「別府において『水』は特別な存在です。生きるために必要な物質という以上の意味を持っています。地中深くからやってくる別府の温泉水は、我々の心を癒し、身体に活気を与えてくれます。別府では、誰もがそれを特別なものと考え、深く敬っています。だからこそ健康と活力を求める人々が世界中から別府を訪れるのです。この作品は人類と自然の連帯の証として海岸沿いの公共空間に設置され、この土地の地形と我々との間のつながりをいっそう際立たせるはずです。日の光が当たれば、この彫刻はあたかも万華鏡のように、あたりを色とりどりに彩ります。そして夜には彫刻自体が光を放ち、別府の街を照らす生命力あふれる灯台となるでしょう」。

トム・フルーインの《Watertower 10:Beppu City, 2023》

Exhibition Ranking