EXHIBITIONS

宮本華子展 HOME LIKE

2025.01.16 - 02.05

宮本華子 在る家の日常 2024 写真

 第一生命ギャラリーで「宮本華子展 HOME LIKE」が開催されている。

 第一生命は、次世代支援の一環として、現代美術の展覧会「VOCA(ヴォーカ)展(*)」の受賞作品の一部を所蔵し、第一生命ギャラリー / ロビーで公開。また、年に数回、VOCA展受賞作家の個展を開催し、作家には発表の場を、一般の来場者には現代アート鑑賞の場を提供している。

 今回は、「VOCA展2020」VOCA佳作賞、宮本華子の個展を開催している。

*──The Vision of Contemporary Art 現代美術の展望-新しい平面の作家たちー

 本展に際して、坂本善三美術館学芸員の山下弘子は次のように述べている。

「宮本は最近、作品に人の手が入ることを自分に許せるようになってきたと語る。それは、彼女が近年祖母と暮らし、看取ったことと無関係ではない。祖母の元を訪れる介護スタッフの存在は、家族にとっては欠くことのできない『他者』であり、家族のなかに"侵入"してきた『社会』であり、祖母の日常にささやかだが確かな豊かさを添えるものであった。

 親戚でも友人でもない他者の存在が、家族の属性のひとつとなり、それによって固定された日常が輪郭を緩める。この経験は作品の成立にも変化を生んだ。インストーラーと協働したり、他者が持ち込んだ物を作品に取り込んだり、彼女自身がふり解いてきたその手に誰かが(何かが)つながることで、彼女は自他の境界線を揺さぶろうとしているように思う。このことは、彼女の一貫した制作のテーマである『家族』や『家』に対する考え方にも少なからぬ影響を与えているように見える。

 自身の本拠地である熊本で小さなレジデンス施設を運営し、アーティストを招いて一定期間身近に暮らすことも、おそらく『家族』のかたちを溶解させ続けているに違いない。家族ではないが、家族のようなもの。家ではないが家のようなもの。『HOME LIKE』。他者と、他者から生まれる想像(創造)への信頼を、彼女は強く表明していると私は感じる」(展覧会ウェブサイトより)。