EXHIBITIONS

ジョエル・シャピロ「Works from 3456‒898:」

2025.01.17 - 02.22

Joel Shapiro untitled 2023 SCULPTURE wood and oil paint 97.8 × 47 × 33.3 cm
©Joel Shapiro / Artists Rights Society(ARS), New York.

 Pace 東京で、ジョエル・シャピロによる個展「Works from 3456-898:」さ開催されている。

 本展では、1975年から現在までの約50年で制作された立体と平面作品を紹介。シャピロの色彩、形態、重力や運動についての⻑年の探究とともに、空間や建築に対する作品の関わりと影響への関心をたどる。

 ジョエル・シャピロは、アメリカでもっとも著名なアーティストのひとりであり、20世紀の彫刻史にとって重要な人物で、彫刻における形態の境界を押し拡げてきた。シャピロの作品は、躍動感、複雑性、洗練されたフォルムを特徴としている。1970年代初頭から、親密かつ心理的な奥行きのある表現手法を導入し、ミニマリズムの制約を超越することを試みている。

 また、シャピロは、抽象と具象の境界が曖昧な鋳造ブロンズ作品により、現代彫刻の言語を再構築したことで知られるいっぽう、制作活動において様々な手法や素材を用いており、災難に直面した人間のレジリエンスを示すような作品を通じて、空間とスケールの感覚を変容させる彫刻の力を追求し続けている。

 今回、Pace 東京の1階では、2012年から2024年に制作されたブロンズ作品群を展示。小ぶりでより親密なスケールの作品には、生命力、柔和、楽しさがあり、シャピロの制作の核をなす直感的で触覚に訴える構成手法が垣間見られる。また、各作品には鋳造のもととなった木材の模様や形の特性が残り、作家の制作過程が恒久的に視覚化。

 2階は、年代ごとに3つのセクションで構成。最初のセクションでは、1970年代の初期作品群を紹介。この時期、シャピロは簡略化された幾何学的形態や、棚、椅子、梯子のような日用品の情緒的な重みに関心を寄せていた。また、1989年制作の自立型のブロンズ彫刻も展示。次のセクションで紹介する、ブロンズや塗装した木材で構成された作品は、この時期における素材やプロセスの探求を物語る。このなかには、2019年制作の⻘く塗装されたブロンズの自立型作品も含まれる。

 本展は、彩色した木材によるレリーフや横⻑の彫刻の新作で締めくくられる。