「ここは未来のアーティストたちが眠る部屋となりえてきたか?──国立西洋美術館65年目の自問|現代美術家たちへの問いかけ」(国立西洋美術館/3/12〜5/12)
2024年は、国立美術館が自館の存在意義を問い直す展覧会が際立った1年であったように思う。国立西洋美術館で開催された同展が「西洋・美術・館」の歴史と未来を問うたいっぽうで、東京国立近代美術館は「ハニワと土偶の近代」展を通じて「近代・美術・館」を自問した。いずれも後世から参照されるであろう意義ある展覧会であり、歴史の問い直しは重要だ。しかしその自問は、美術館の外にも開かれる必要がある。「ここは未来のアーティストたちが眠る部屋となりえてきたか?」では、階段が展示場所となった。その場所での展示は大きな話題を呼んだが、「アクセシビリティ」の観点から、この展示方法が排除を容認していたことを見逃してはならない。出品作家と市民有志によるガザ侵攻への抗議活動に際し、警察の館内での監視を美術館側が看過したことも、繰り返されてはならない深刻な事態である。