EXHIBITIONS
ウラ・フォン・ブランデンブルク「Chorsingspiel」
エスパス ルイ・ヴィトン大阪で、ドイツ人アーティスト ウラ・フォン・ブランデンブルクによる個展「Chorsingspiel」が開催されている。
本展は、東京、ミュンヘン、ヴェネツィア、北京、ソウル、大阪のエスパス ルイ・ヴィトンでフォンダシオン ルイ・ヴィトンの所蔵コレクションを公開する「Hors-les-murs(壁を越えて)」プログラムの一環として行われているもので、国際的なプロジェクトの実施を通じて、より広くグローバルな観客に作品を届けるというフォンダシオンの理念にもとづいている。
ウラ・フォン・ブランデンブルクの作品は、映像やドローイング、壁画、オブジェ、インスタレーションなど多岐にわたり、いずれの作品もより大きな舞台空間の延長、あるいはその一要素としてとらえることができる。フォン・ブランデンブルクは、ドイツのハンブルク美術大学に進学する前に舞台美術を学び、いまなお演劇の世界に強い愛着を持ち続けている。「垂れ幕」はフォン・ブランデンブルクの作品に繰り返し登場する要素で、劇場から本物の緞帳を借りてきて舞台に取付けたり、色とりどりのキルトで表現したりと様々である。これらの布は、彫刻と絵画の性質をあわせ持ち、展示空間を形づくったり、区切ったりする役割も果たす。あらゆる空間をつくり出し、時に映像が投影される空間へ導く通路ともなっている。
映像やビデオは、フォン・ブランデンブルクが作品制作によく用いる手法だ。映像の技術を用いることで、活人画や古典悲劇といった現代演劇以前の形式を復活させている。一般的に時代遅れとみなされる表現形式への関心は、フォン・ブランデンブルクの作品に繰り返し表れるテーマのひとつである。フォン・ブランデンブルクが好んで用いる図像は、19世紀から20世紀への転換点、つまりオカルトへの傾倒から合理主義へと移行する時代と密接に結び付く。多くの作品に登場するのは、心霊写真、催眠術から精神分析への変遷、タロットカード、秘密結社などのモチーフ。象徴主義的な想像力を改めて受け入れることで、19世紀末の芸術運動が持つ神秘主義的な側面や「総合美術(Gesamtkunstwerk)」が抱いた理想を現代に蘇らせる。同時に、近代化のなかで見過ごされてきた、あるいは抑圧されてきた根源的な要素にも光をあてている。
本展では、フォンダシオンの所蔵コレクションから、2つのビデオインスタレーションを日本初公開。
《Singspiel》(2009)は、18世紀後半のドイツで上演されていたオペラの形式を参照。無声映画でありながら音声の付帯する本作品は、フォン・ブランデンブルク自身が歌う2曲にあわせて、様々な年齢層の人々が集う家族の食事風景や、野外劇場での奇妙なパフォーマンスを描き出しており、20世紀初頭の映画上映時に行われていた生伴奏を彷彿させる。
もう1つの作品《Chorspiel》(2010)も白黒映像で、パフォーマンス、演劇、絵画それぞれに特徴的な表現が活人画の形式で融合されており、さらにギリシャ悲劇のコロス(合唱隊)の要素も加わる。
本展は、東京、ミュンヘン、ヴェネツィア、北京、ソウル、大阪のエスパス ルイ・ヴィトンでフォンダシオン ルイ・ヴィトンの所蔵コレクションを公開する「Hors-les-murs(壁を越えて)」プログラムの一環として行われているもので、国際的なプロジェクトの実施を通じて、より広くグローバルな観客に作品を届けるというフォンダシオンの理念にもとづいている。
ウラ・フォン・ブランデンブルクの作品は、映像やドローイング、壁画、オブジェ、インスタレーションなど多岐にわたり、いずれの作品もより大きな舞台空間の延長、あるいはその一要素としてとらえることができる。フォン・ブランデンブルクは、ドイツのハンブルク美術大学に進学する前に舞台美術を学び、いまなお演劇の世界に強い愛着を持ち続けている。「垂れ幕」はフォン・ブランデンブルクの作品に繰り返し登場する要素で、劇場から本物の緞帳を借りてきて舞台に取付けたり、色とりどりのキルトで表現したりと様々である。これらの布は、彫刻と絵画の性質をあわせ持ち、展示空間を形づくったり、区切ったりする役割も果たす。あらゆる空間をつくり出し、時に映像が投影される空間へ導く通路ともなっている。
映像やビデオは、フォン・ブランデンブルクが作品制作によく用いる手法だ。映像の技術を用いることで、活人画や古典悲劇といった現代演劇以前の形式を復活させている。一般的に時代遅れとみなされる表現形式への関心は、フォン・ブランデンブルクの作品に繰り返し表れるテーマのひとつである。フォン・ブランデンブルクが好んで用いる図像は、19世紀から20世紀への転換点、つまりオカルトへの傾倒から合理主義へと移行する時代と密接に結び付く。多くの作品に登場するのは、心霊写真、催眠術から精神分析への変遷、タロットカード、秘密結社などのモチーフ。象徴主義的な想像力を改めて受け入れることで、19世紀末の芸術運動が持つ神秘主義的な側面や「総合美術(Gesamtkunstwerk)」が抱いた理想を現代に蘇らせる。同時に、近代化のなかで見過ごされてきた、あるいは抑圧されてきた根源的な要素にも光をあてている。
本展では、フォンダシオンの所蔵コレクションから、2つのビデオインスタレーションを日本初公開。
《Singspiel》(2009)は、18世紀後半のドイツで上演されていたオペラの形式を参照。無声映画でありながら音声の付帯する本作品は、フォン・ブランデンブルク自身が歌う2曲にあわせて、様々な年齢層の人々が集う家族の食事風景や、野外劇場での奇妙なパフォーマンスを描き出しており、20世紀初頭の映画上映時に行われていた生伴奏を彷彿させる。
もう1つの作品《Chorspiel》(2010)も白黒映像で、パフォーマンス、演劇、絵画それぞれに特徴的な表現が活人画の形式で融合されており、さらにギリシャ悲劇のコロス(合唱隊)の要素も加わる。