EXHIBITIONS

J.D.オカイ・オジェイケレ「SCULPTURES FOR A DAY」

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 アニエスベー ギャラリー ブティックで、ナイジェリアの写真家J.D.オカイ・オジェイケレによる個展「SCULPTURES FOR A DAY」が開催されている。

 本展では、今年3月から5月にかけてパリのアニエスベーのギャラリー「ギャラリー デュ ジュール」で開催された展示から、オジェイケレの「ヘアスタイル」と「ヘッドドレス」シリーズの24作品を紹介。

 1930年、ナイジェリア西部の農村に生まれたオジェイケレは、1950年にフラッシュ機能のないカメラ「ブローニー D」を手に入れた。写真がほとんど知られていなかった同地域で、オジェイケレはナイジェリアがイギリスからの独立を迎えた過渡期にキャリアをスタートさせ、その作品は、解放によってもたらされた社会的・文化的変化をとらえている。

 あらゆる形態の芸術、とりわけ日常生活に溶け込んだものに敏感だったオジェイケレは、1968年に「ヘアスタイル」シリーズを開始。この象徴的なシリーズは、1950年代にナイジェリアへ大量に輸入されたウィッグの影響を背景にしている。当初は民族誌的な視点から始まったプロジェクトは、次第に純粋な芸術性を帯びていった。オジェイケレは、ナイジェリアの女性たちが身に着ける一瞬の美であるヘアスタイルを写真によって不滅のものとし、その儚さにある文化的価値を刻み込んだ。

 これらの髪型の伝統は、一時的に衰退することがあったものの、たんなるファッションの枠を超え、ナイジェリアの多様な創造的側面や社会的構造を映し出すものとなった。

「ヘアスタイル」シリーズは、ナイジェリア全土から集められた伝統的なヘアスタイルを1000点近く撮影した作品で、ナイジェリアの豊かな文化と芸術的多様性を物語っている。あまり知られていない「ヘッドドレス」シリーズは、2000年代初頭にオジェイケレが手がけた作品で、ナイジェリアの様々な女性たちのヘッドドレスをテーマに、布を手作業で巧みにアレンジする技術や美学を探求。

 これら両シリーズは、多くの人々とともにつくり上げたものとなる。ヘアスタイルやヘッドドレスはある人がつくり、別の人がそれを身に着け、そして写真家がその美を撮影するという三者が協力して成り立っている。オジェイケレの彫刻的な写真構図は、後ろ姿に焦点をあてることが多く、ヘアスタイルの幾何学的なデザイン、形状、抽象的な力を際立たせる。